怪鳥フリと白ギツネ
あまりにも私は退屈なので ある日のこと
海辺へ出て砂の上へ
二つの模様を 三つの模様を
描きながら 遊んでいると
はるか沖から一羽の大鳥 フリという鳥
丸のままのクジラ 一頭抱え
飛んできた
それを見た私は 食べたくなって
少しだけ一口だけ
ごちそうしてと
私がいっても 知らんぷりして
川の上流へ 飛び去った
腹を立てながら
フリの行方を 目で追うと
高い高い神の山
その上に生えた 大エゾマツ
下の枝は 人間国土を
覆うように 広がっている
上の枝は
大空の表を ふさぐように 広がった樹木
太くて高い 大エゾマツが
そびえている
そのエゾマツの
枝の上にクジラを置き
食べようとして いるのが見えた
腹を立てた私は
わざとそのように思わせて
まったく急に 神の国自分の住居へ
帰るように
呪術をかけた
術にかかった大フリは
自分のクジラをそこへ置き
さっとばかり舞い上がり
神の国へ急いで帰った
その後で私は 鳥や獣を たくさん集め
クジラの肉を 食ってしまった
そこで初めて フリの神様
あっとばかり 気が付いて
食い根性悪く
肉の切れ端も
やらなかったのに
どんな神が私より 呪術が上で
クジラをそのまま 置いてきた
そのように思いながら
エゾマツの上へ戻ってみると
クジラは全部食われてない
それからというもの
呪術を掛けた者を
心の内で捜しているけれど
両刃の小刀を 体に乗せるように
半分黒いその小刀の 後ろの方に
隠れるようにして私はいた
そうすると フリは私を捜し
クジラを横取りした者は誰だ
どんな神が 私よりも
呪術にたけて私をだましたものか
誰にもやらんと思った大クジラを
置いてしまって
いろいろな化け物に
食いちらかされてしまったもので
あろうかと思いながら
怒って怒っているのが見えた
その後で私であることを
教えてやったらそれからは
自分の体をのけぞらせながら
食い根性が悪いとよくないものだ ということ
本当に本当に
位の高い神へ
食い物をやらなかったので
それを怒ってこのようにされた
といいながら体をのけぞらせ
のけぞらせながらこの次に
大クジラを捕って持ってきたら
その時は食べさせましょうと
私に謝りました
と白ギツネの神がいいました