影をば踏まで、面をや踏まぬ。
四条の大納言(藤原公任)が
このように何事もすぐれ、
すばらしくいらっしゃるのを
大入道殿(兼家)、
「どうすればこうなるだろうか。うらやましいものだなあ。我が子どもが、影さえ踏むことができないことはなんとも残念なことだ。」
て申し上げなさったので、
中の関白殿(道隆)・粟田殿(道兼)などは、
「本当にそのようにお思いになっているのだろうか」
と、恥ずかしそうな様子で、
何もおっしゃらないで(いるに対し)、
入道殿(道長)は、
とても若くいらっしゃる身の上で、
「影なんか踏まずに、顔を踏まないことがあろうか 。いや、顔を踏みつけてやる(影は踏まないが、どうしてその面を踏むように面目をつぶしてみせよう)。」
とおっしゃったのでした。
本当にそのようにいらっしゃるようだ。
内大臣殿(教通-ノリミチ)とさえ、
親しく対面し申し上げなさることができないよ。
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