おはようございます。創業100年以上を誇り、幾度も経営危機を乗り越えてきた「吉野家」ですが、社会情勢に配慮するこんな報道がありました。
牛丼チェーン大手の吉野家ディー・アンド・シーは6日、駐車場がある全国621店での酒類(日本酒・ビール)の販売をやめると発表した。
全国1005店の約6割にあたる。飲酒運転に対する社会的な批判の高まりを受けた措置だ。
各店で在庫がなくなり次第、販売をやめるとしており、年内にも販売を終了する見通しだ。駐車場がない店では販売を継続する。
同社の2006年2月期決算(単体ベース)の売上高は657億円で、このうち酒類の販売が占める割合は1%未満としている。
最近、飲食店の店頭に、「飲酒運転」に関する注意書きが増えていますが、メニューから削除するというのは、大胆で、かつ、合理的な方法ですよね。「直営展開」ならではの、思い切った決断です。
No.444:直営店
・ 直営店:出資者などが直接経営する店舗。
今まで卸売り事業を中心に展開してきた会社が、「直営店」を出店するケースが増えてきています。
帽子卸最大手のアルプス・カワムラ(中央区)は11月1日、「モザイク銀座阪急」にアンテナショップ「49 George St(フォーティ・ナイン・ジョージ・ストリート)」をオープンした。
同社初の直営店となる同店は、エンドユーザーの声をいち早く商品企画に反映させるのが狙い。店舗面積は7.5坪で、展開ブランドは、マダガスカルのヤシ「ラフィア」を主に、オーストラリアの伝統工芸技術を生かして帽子・バッグを作ることで知られる「HELEN KAMINSKI(ヘレンカミンスキー)」、同社独自ブランドで、「大人かわいい女性」(同社)をターゲットにした「MAQUILLAGE(マキヤージュ)」、オリジナルブランドで「素材、織りにこだわった高級ライン」(同社広報担当者)のマフラー、ストール「A+ selection(エー・プラス・セレクション)」、アメリカの一流デパートで取り扱われている「ERIC JAVITS(エリック・ジャヴィッツ)」。このほかのブランドについては「お客様の反応と売れ行きを見て変えてゆく」(同広報担当者)という。(銀座経済新聞11/8)
お客様の声を速やかにMD(商品政策)に反映させることが目的・・・。
靴製造・販売のリーガルコーポレーションは2008年3月期から、直営店を今期比4倍の20店程度出店する。主力の卸売り販売が納入先の靴専門店の減少で落ち込んでおり、販売の軸足を利益率の高い小売りに移す。女性靴専門の店舗も増やし、幅広い顧客層への販売を強化する。
来期に出店するのは、30歳前後の女性を対象にした「ナチュラライザー」で10店舗、主力ブランドの「リーガル」やカジュアルブランドで10店舗を予定している。紳士向けビジネスシューズは開拓余地が少ないと判断し、女性靴の販売に力を入れる。(日本経済新聞12/4)
卸売り事業の先行きが厳しいとの予測に基づき、小売り事業へ業態をシフトしていくとともに、女性靴も強化していく・・・。
そもそも卸売業とは、製造業と小売業の中間に位置する経済活動を行う業種であり、「問屋(とんや・といや)」と呼ばれる業態です。扱う商品の種類によって、さまざまな「問屋さん」があるのですが、小売業者が大型化し、全国展開するようになってきたことで、製造業者(メーカー)から直接仕入れることも多くなり、相対的に卸売り業者のウエイトが低下してきています。
また、一方で、卸売り業者自らが、小売業に進出する動きも、先の報道のように、目立ってきています。
たとえば、こんなお店があります。
プレーリーシミズ株式会社の直営店。昭和通沿いにある自社ビル(東京店)の1Fで、オリジナルブランドや、ライセンスブランド(ラコステ、シビラなど)のベルトや革小物を販売しています。レディースも展開しており、キーホルダーなどの小物雑貨も充実しています。
○A-GI
株式会社味岡の直営店。表参道から程近い路面店で、「GANZO」など、オリジナルブランドの革小物やバッグを集積しています。奥には工房も設けられており、オーダーやメンテナンスといったサービスも充実しています。
株式会社松崎の直営店。表参道と骨董通りの中間に位置する路面店で、創業者の名前と創業年を店名にしています。このお店だけの、こだわりのバッグがラインナップされています。
いずれも、レザーグッズを主力商品として展開している卸売業態の会社の、直営小売店舗です。
「ラ・プレーリー」は、得意先である百貨店の、服飾雑貨売り場(平場)で展開している商品を、ただ集積しただけで、残念ながら、「ショールーム」の域をでていない気がします。
「ISABURO1889」は、すべてショップだけのオリジナルで、こだわりを全面的に出した商品を扱うお店です。永い歴史に裏付けられた、自信のようなものが伝わってくるのですが、自己満足に終わってしまわないように、存在をもっとアピールしていく必要があると思います。
その点、「A-GI」は、単に自社ブランドを集積しただけでなく、オーダーやメンテナンスといったサービスまで用意しており、こちらも永い歴史を誇るメーカーが、直営店にかける気概、といったものが伝わってきます。
どうせ、直営小売事業に挑戦するのなら、メーカーとしての「プライド」と「威信」をかけて、従来の「アイテム専門売り場(平場)」ではできないこと、もしくはやりたくてもできなかったことを、実践すべきだと思います。
・ オリジナルブランドのアピール
・ 専門的な知識のあるショップスタッフ
・ 量産品とは一線を画す特徴ある商品
・ オーダーメイドやメンテナンスといったサービスの充実
・ プレス機能
・ さまざまな商品やサービスの実験・・・などなど
このほかにも挙げられると思うのですが、少なくとも上記の項目は、重要であり、それぞれの優先順位を付けたうえで、最適と思える立地を選定し、インテリアやVMDはもちろん、イメージを大きく左右する、スタッフのスタイリングや接客技術、販売促進や顧客開拓・固定化といった、さまざまな項目を吟味して、総合的にあるべき姿(仮説)を立案し、実行し、試行錯誤(検証・修正)を続けていくしかない、と思うのです。
卸売り業者が、「在庫処分」のために、アウトレットモールなどに出店する場合は、その目的が明確なのですが、プロパー(通常販売)の小売事業に進出する場合、どうにも、こういった目的が不明確になっているケースが見受けられるのが、残念でなりません。
PS.
どうせ買うのなら、そこのお店で買いたい・・・そう思ってもらえるような「直営店」であってほしい。
