おはようございます。「このままでは・・・なんでもありか・・・」といわれそうですね。
安倍晋三首相は27日夕の自民党役員会で、郵政民営化に反対し、同党を離党した無所属衆院議員12人から復党願が提出されたことについて「(平沼赳夫元経済産業相を除く)11人の復党審査手続きに党紀委員会で入ってもらいたい」と指示した。誓約書を出さなかった平沼氏は、審査対象から外した。党内では新人議員らから反対論や慎重論が相次いだが、同党は早ければ月内にも党紀委員会を開き、復党を正式決定する運びだ。
首相は同日夜、首相官邸で記者団に「総裁として責任をもって決断した。古い自民党に戻ることはない」と言明。復党条件に関しては「郵政民営化是か非かをあいまいにしてはならないと考えた」と国民の理解を求めた。また、復党問題での衆院解散を否定した。
No.437:このままでは・・・
日経ビジネスの会員オンラインサイト「NBonline」に、興味深い記事が掲載されました。谷島宣之(やじま のぶゆき)氏の「セイコー創業者CEOの追放と正論」というコラムです。
「技術立国・ものづくり立国を目指しても日本は生き残れない。いいモノを安く大量に作って輸出するモデルではもうダメなんだ」
11月16日付でセイコーインスツル(SII)代表取締役会長兼社長代行の職を解任された服部純市氏は、かねてこう主張し、大学で講演したり、雑誌に寄稿したりしていた。
・・・という始まりで、服部純市氏の「持論」を紹介しています。
警鐘1 日本経済不振の真の原因はバブル崩壊ではない
(前略)儲からなくなった理由は、日本を牽引していた製造業の不調である。生産性や歩留まりの向上を徹底して追求し、最低のコストで最高の機能と品質を持つ製品を大量生産できるようになり、度重なる円高を乗り越えてきたにもかかわらず、以前ほどの利益を出せなくなった。
バブルがあろうがなかろうが、製造業の「改善」が行き着くところまでいき、これ以上利益を生み出すのが困難になっているという指摘。
警鐘2 生産性の向上だけでは勝ち抜けない
(前略)日本の時計メーカーの栄枯盛衰について、「スイスの時計産業が復興したのは、ブランド戦略の成功であって、日本は技術の競争で負けたわけではない」という解釈が一般的である。しかし、服部氏はそうではないと主張した。クオーツにシフトした結果、日本の時計メーカーは機械式時計を作る技術を失ってしまった。ブランド戦略で負けたのは確かだが、技術でも負けたというのである。(中略)
日本の技術者も頑張ったが、当然スイスの技術者も頑張って、日本より先にクオーツ時計を開発していた。ただし、スイスの時計産業は、部品メーカーや完成品メーカーが別々の企業に分かれており、クオーツへの切り替えで足並みが揃わなかった。これに対し、日本メーカーは部品から完成品まで手がける垂直統合型を取っていたので、一気にクオーツへ切り替え、量産に踏み切れた。日本の技術者が頑張ったのは事実だが、それだけが成功の要因ではない。
特徴ある機械式時計がもてはやされる今、日本メーカーの垂直統合構造はかえって邪魔になっている。量産品を手がけている以上、同じ会社の傘の下では、高級ブランドを育成しづらいのである。
生産性の向上が、肝心の「技術力」を損なうことにつながってしまったという指摘。
警鐘3 「心地よさ=匠」の創造を急げ
では日本企業はどうしたらよいのか。服部氏は、価格・機能・品質「以外」の新しい付加価値を追求すべきとし、その付加価値を「匠(たくみ)」と呼んだ。匠とは、人間が本来、感じる心地よさを意味する。例えば、スイスの機械式時計や漆など天然塗装をした時計、あるいはアナログ方式の高級オーディオが持っている何かである。
といっても、職人芸による手作りに戻れというわけではなかった。コストダウンのテクノロジーではなく、匠を実現するテクノロジーを追求する必要がある、と服部氏は考えた。こうした考えから、英国の掃除機メーカー、ダイソンにはかねてより注目していた。ダイソンは、紙パックを不要にする独自技術に基づく掃除機を通常の価格の3倍程度で販売している。「掃除機のような成熟した製品分野に、大英帝国からイノベーターが出てくる。ああいうことを我々もやらないといけない」と服部氏は語っていた。
「価格・機能・品質」以外の「新しい付加価値」を追求すべきだという、至極真っ当な指摘。
警鐘4 輸出依存型のものづくりモデルは限界
「日本は資源がない。だからものづくりに精を出して世界に売っていくしかない、という人がいまだにいる。とんでもない間違いだ。日本は過去、アメリカやヨーロッパにものを買ってもらったおかげで豊かになった。今度は、日本が発展途上国からものを買ってあげる番だ。日本は、海外から買ってきたものをうまく融合して、もっと付加価値の高い、新しい仕事をする。そういう時期に入っている」
外貨を稼ぐために、日本は昔も今も輸出をするしかないはずだ。ところが服部氏は「日本のものづくりは空洞化してもかまわない」とまで言い切っていた。日本は、新しい「匠」のテクノロジーを開発して高付加価値製品を考案する。そのノウハウを発展途上国に提供し、完成品を作ってもらう。日本はノウハウのロイヤルティーを得てもいいし、途上国へ投資し、そこからリターンを得てもいい。何から何まで国内で作ってひたすら海外に売る事業モデルをしつこく追求しようとしても無理だ、というわけである。
新たなビジネスモデルの開発が必要となってきているとの指摘。
記事では、こうした服部氏の主張を「正論」であると評価し、「解任」されたことで、この「正論」まで、葬られてしまうことを危惧して終わっています。
(前略)服部氏は、セイコーグループの創業家一族であり、SIIの筆頭株主であり、長者番付の上位に顔を出す資産家であり、米スタンフォード大学のMBA(経営学修士)である。
「ものづくりだけではダメ」「匠を目指せ」「輸出型ものづくりは限界」などと上から申し渡された経営幹部や社員からすると、議論はおろか、質問すらしにくい息が詰まるような雰囲気があったのかもしれない。
あるいは、事業や産業の実態からかけ離れた御曹司社長の夢物語として、周囲からは全く相手にされていなかったのかもしれない。
もしかしたら、服部氏の吐く正論を疎み、自ら変わることを拒んだ抵抗勢力が反旗を翻したということなのかもしれない。
はっきり言って、その真相は分からない。だが、服部氏が論じた警鐘のすべてが今回の騒動でかき消されてしまうとしたら大きなマイナスなのではないだろうか。SIIの新経営陣が、「愚直にものづくりに邁進する」などと言い始めたら、危機の兆候なのかもしれない。
「このままでは・・・いけない!」という、現状に対する、強い「危機感」と「問題意識」から、今後を見通し、予測して、「あるべき姿」を規定し、そこにたどり着く「方向性」を示すこと。
経営者にとって、実に「大切」で、「重要」な仕事のひとつだと思います。
服部氏は、残念ながら「解任」されてしまったわけですが、「創業者」から「後任」に抜擢された、服部氏のように「一族」でも「同族」でもない社長が、「あるべき姿」にたどり着く「方向性」をうまく「変化」させた事例が、今週号の「日経ビジネス」に掲載されています。
「お母さん」を狙え!
任天堂がWiiに託すお茶の間攻略
新社長に抜擢された「岩田聡」氏が、「ゲーム人口減少」への「強い危機感」から、「このままでは・・・任天堂の将来はない」と、「従来の延長線上にはないことをやってゲーム人口を拡大させないと駄目だと確信したのが、2002年から2003年にかけて」だったそうです。
そこから、岩田氏は、参謀であるソフト開発部門のトップである「宮本茂」氏(代表取締役専務)と、ハード(ゲーム機)開発部門のトップである「竹田玄洋」氏(おなじく代表取締役専務)に、自分の考えを伝えて議論を重ねていきます。
つまり、「同族」でも「生え抜き」でもない岩田社長がとった作戦は、経営陣とまず議論を重ね、出た結論を自分の言葉で繰り返し社内に説明し続けよう、というものだったのです。
「技術のロードマップを外れた据え置き型ゲーム機を作りましょう」
「高機能・高画質ではない手段で、たくさんのユーザーが楽しめる据え置き型ゲーム機を目指す」
任天堂の目指す原点は人が驚くものを作ることであって、最先端の技術はそのための手段に過ぎない。限られた時間と予算で作り上げたものを示してお客さんに驚いてもらうには、どんなバランスがよいのか。そのバランスを考えた結果、任天堂は最先端の技術を追求する以外の道を選ぶ 岩田らは社内に向かって語り続けた。
記事には、「お母さんに嫌われないゲーム」を作ろうと、一丸となって開発に邁進するエピソードが紹介されています。先の岩田社長を中心とする山三人のインタビューも掲載されており、なんとなく、今まで以上に「Wii」が気になり始めました。
- 任天堂
- Wii
服部氏と岩田氏の違いは一体なんだったのでしょうか。
「人を命令で動かすだけでは、決して目標を達成できない」
「コミュニケーション」の「大切さ」を認識していたか否か。
「このままでは・・・」という「危機感」を共有して始めて、「これから・・・」がはじまるのかもしれませんね。
PS.
まず「問題意識」と「危機感」がないことには・・・
