1週間以上前になりますが、去る6月8日大阪国際フェスティバルに行って参りました。

プログラムはサロメ(演奏会形式)。

 

演奏は大阪フィルハーモニー交響楽団、指揮はシャルル・デュトワ。

当初の尾高忠明氏が健康上の理由により降板、急遽デュトワとなりました。代打が超豪華。

 

5月末に大フィルの定期演奏会でもデュトワが登壇し、幻想交響曲が大変な絶賛を受けた(私は聞きに行かなかったのですが、結構後悔してます)為、このサロメも非常に期待が高まっていました。

 

シュトラウスの管弦楽曲をお聴きの皆様はお解りだと思いますが、彼の管弦楽法と独唱というものは根本的には合わない。大編成、4管レベルのオーケストラに1人の人間の声だけで挑むわけですから。

その一歩間違えれば大惨事になりかねないシュトラウスをデュトワは齢80を超えても若々しい指揮で見事にコントロール、ソリスト陣も一切オーケストラに負けることなくその歌を響き渡らせます。

 

シュトラウスは演奏するのはそこまで難儀ではないのですが、その音楽を整理したり理解するのは非常難しいものがあります。正直、「ヨカナーンは預言者かどうか」について5人のユダヤ人と2人のナザレ人が争う場面については私の現時点での能力では頭がパンクしてしまいます。7人分の独唱のメロディーにバックのオーケストラのメロディー、重なるとメロディーラインやバス、内声で軽く10を超える多重音楽となります、わかりません…

 

しかしながらデュトワは音の魔術師と評されるそのスキルでオーケストラを見事に整理し、かつホールを箱として響かせることに成功、シュトラウスのオペラが抱える管弦楽法と歌の矛盾という問題を解決していたと感じられました。

 

全曲が終わった後、喝采が満員のホールを包み込み、衝撃的な演奏会となりました。

 

デュトワは既に80歳を超えてはいますが今後も是非とも大フィルに客演をお願いしたところですね。