遊戯王04環境レギュレーション考察の第五回です。
第一回はこちら(そもそも04環境とは何かについてもこちらから)
第四回はこちら
今回は『序盤のゲームメイク』について解説します。
ちなみに動画にもしてるので、音声の方がいいという方はこちらをどうぞ。
以下の項目に分けて解説していきます。
①序盤に意識するポイント
②初手でプレイすべきモンスター
③ピーピングハンデスカードが握れた場合
④ピーピングハンデスカードをプレイされた場合
以上を個別に詳しくいきます。
①序盤に意識するポイント
序盤に主に意識するポイントは以下です。
▼情報を得る
当たり前ですが、ゲームが始まった直後は先行後攻以外に両プレイヤーのアドバンテージ差は初手でドローした1枚のカードアドバンテージしかありません。
ライフアドバンテージ差も、ボードアドバンテージ差も、情報アドバンテージにも差がありません。
※情報アドバンテージ・・・これまでのアドバンテージについての記事で解説していませんが、単純に相手の握っているカードについての情報量のことだと思っていいです。
差がないので、何かしらの手段で差を付けていく必要があります。
その為には、自分の持っているどのカードがアドバンテージを得るに繋がるかを知る必要があり、それは相手の持っているカード次第であり、すなわち『相手がされた痛いこと』を的確に選択する必要があります。
よって、ライフ、カード、ボードアドバンテージいずれのアドバンテージを得るにもまずは情報が必要です。
ですので、基本は『情報を得る』ことが序盤でまずすべきことになります。
▼情報を与えない
これは上記『情報を得る』とほぼ同義です。
序盤は『情報を得る』ことが重要ということは、『相手に情報を与えてはいけない』ということにもなります。
とりあえず召喚権が勿体ないから何かしらのモンスターを召喚するだとか、発動可能だからとりあえず魔法カードを発動しとくとかっていうのは相手に情報を与えるだけの特に意味のない行動です。
カードによっては少なくとも損はしないと思うかもしれませんが、得をすることが説明できないのであればそれはただの運ゲーになってしまうのでやめましょう。
よくあるプレイで分かりやすいところでいうと、後攻1ターン目で相手のセットされた魔法罠カードに対して適当に《サイクロン》を打つ行為など。
トーナメント環境ですらビックリするくらいよくみるプレイですが、全く意味がないのでやめましょう。
04環境においてはむしろ《強奪》という分かりやすい《サイクロン》のマスト対象があるので、《強奪》のプレイを待たずに序盤で《サイクロン》を消費するというのはありえないです。
(《砂塵の大嵐》を握っている状況で相手のミスリードを誘う為にあえて《サイクロン》をプレイするといった絡め手もありますが、そういった特別な理由がないのであれば絶対にしてはいけないプレイです。)
そんな感じで適当に情報を開示することは、特別なケースを除いてマイナスになることが多いので基本は『待ち』になります。
『待ち』を基本としつつ、極力裏目にならない行動のみを取っていく必要があります。
その極力裏目にならない行動は後に解説します。
▼リソースバランスを整える
リソースバランスを整えるとは、
自分の持っているカードでより多くの状況に対処できるようにカードのバランス(種類)を整えていく
ということです。
例えば、手札がすべて下級モンスターみたいなことになってしまうと、通常召喚が1ターンに1回しかできないルール上、相手が魔法カードを絡めた攻めに転じた際に対処しきれなくなってしまいます。
よって、出来る限り相手に情報を与えず、事故を悟られず、『待ち』に徹して魔法罠カードを引き込む必要があります。
(以下ではそれを踏まえた上での序盤行動の具体例を記載しています。)
04環境は今の2020年環境と違って、ピン刺しが多く、サーとカードも乏しいので、初手のリソースバランスがそこまで安定しません。
よって、リソースバランスが整うまでの『待ち』が必須となり、逆に相手のリソースバランスが悪い場合は裏目にならない範囲でそれを察知することも重要となります。
*
そんな感じで以上を踏まえると、序盤は基本的に『待ち』が重要であると言えます。
それを踏まえた上で具体的に序盤ですべき行動について解説していきます。
②初手でプレイすべきモンスター
特別なカード(主にハンデスカード)が絡まない場合に初手で取る安定行動は大体決まっています。
まずは、『初手でプレイすべきモンスター』について解説していきます。
※あくまで基本的なものです。
▼先行
特に裏目がない、かつ情報を与えない定石モンスターはこれらになります。
・《異次元の女戦士》裏側守備表示
・《イグザリオン・ユニバース》裏側守備表示
・《魂を削る死霊》裏側守備表示
・《キラー・スネーク》裏側守備表示
上にいくほど安定かなと思います。
すべて裏守備なので相手が戦闘を行うか、《光の護封剣》、《抹殺の使徒》を使用するまで最小限の情報開示に抑えることができます。
特に《異次元の女戦士》の初動としての安定性は抜群です。
このカードの先行裏側守備にはほぼ裏目が無いと言ってもいいでしょう。
守備力が1600と絶妙に高く、《ブレイドナイト》、《同族感染ウィルス》、効果使用後の《魔導戦士 ブレイカー》に戦闘破壊されることがなくある程度の壁として成り立ちますし、
裏守備に対して貫通ダメージを狙ってきた《イグザリオン・ユニバース》もダメージを受けることなく道連れにし、返しのターンにフィールドをガラ空きにすることができます。
(その後ガラ空きになったフィールドからハンデスが通ろうものなら相当優位に立てます。)
《異次元の女戦士》は初動だけでなく、その強力な除去効果から中盤~後半でも状況を選ばず機能するカードですから、これが3枚投入されているのは納得です。
《イグザリオン・ユニバース》も守備力1900と普通に壁として優秀です。
(その後タイミングをみて表示形式変更のみでビートダウンに映ることが可能)
《魂を削る死霊》は返しのターンで相手モンスターを何かしらの手段で除去し、そのまま表示形式変更からハンデスを狙えれば強力です。
《キラー・スネーク》は上記カードを引けなかった場合の妥協点といったところ。
(本来は《苦渋の選択》で落としたいので素引きはしたくないカード)
一応以下も裏目の少ない選択肢になりますが・・・いくつか問題点があります。
・《魔導戦士 ブレイカー》攻撃表示(バック無し)
打点で超えられることがないので戦闘破壊によってカードアドバンテージを失うことはほぼありません。
(4枚セット⇒ブレイドナイトを除く)
が、表側表示であることから情報を与えてしまう上に、《強奪》という致命傷クラスの裏目があるのでバックが置けなくなってしまいます。
(仮にバックを置いて《強奪》で《魔導戦士 ブレイカー》を奪取されバックを破壊され、《魂を削る死霊》や《首領・ザルーグ》によるハンデス、《天空騎士パーシアス》の1ドローなどを食らってしまうと負け直結レベルです。)
一応相手からしたら置いたバックを破壊されるという警戒心を与えることができるので、駆け引きが発生するという意味では面白いプレイではあります。
が、定石とはとても言えないので、定石モンスターを引けない際の選択肢だと思っておいた方がいいでしょう。
まあ、これらはあくまで定石なので、
・定石を知ったプレイヤー同士のデュエルであえてブラフをしく
(罠カード1伏せかつ《抹殺の使徒》を握った状態での《首領・ザルーグ》裏守備など)
・定石モンスターを引けてないと思い込ませる為に何も召喚しない
といった絡め手もありえなくはないです。
が、基本的にこういったのはハンデスカードで情報アドバンテージを握った時、相手の性格を知り尽くしており心理戦に自信がある場合などに行うプレイなので、あくまで基本という意味では取る行動ではありません。
先行の召喚権を使った安定行動はそんな感じです。
次に後攻のケース。
▼後攻
後攻は相手の行動に大きく影響を受けるので一概には言えません。
相手が裏守備+バック1枚など無難なアクションでターンを回してきた場合は、先行と同様の行動を返すのが基本になります。
よくある他のケースは以下のようなものが挙げられます。
・相手が事故ってノーモンスター
これは『《魂を削る死霊》、《首領・ザルーグ》でハンデスを狙う』、『《異次元の女戦士》でビートダウン』などが狙いたいアクションです。
前者が通れば後攻の不利をひっくり返せます。
・相手が裏守備1体、こちらの手札に《抹殺の使徒》
これは『《魂を削る死霊》、《首領・ザルーグ》を引けているなら《抹殺の使徒》を使用してハンデスを狙う』が狙いたいアクション。
それ以外のケースでは基本的に温存して先行と同じ行動を返すのが無難。
・《魔導戦士 ブレイカー》攻撃表示
先行でこれをやる側にもリスクはあるのですが、された側にも重要なカードをセットできないという圧力がかけられています。
第三回『【04環境考察#3】カードアドバンテージについて』で述べたブラフ《サイクロン》で無駄打ちをさせた後に戦闘破壊が理想です。
そうでなければ先行と同じ行動を返すのが無難。
*
他にもパターンは無数にあるので上記はあくまで考え方の参考としてごく一部を紹介しただけです。
上記以外でよくあるのがピーピングハンデスが絡んだ場合。
これはちょっと特殊なので項目を分けて解説します。
③ピーピングハンデスカードが握れた場合
04環境には以下のハンデスカードがあります。
・《押収》
これらはカードアドバンテージの面で見れば1:1交換にしか過ぎないですが、皆さんご存知の通りこれらのカードの真髄は『ピーピング』にあります。
ピーピングとは、ルール上公開情報でない領域を確認できる行為全般を指し、
①で述べた『情報を得る』という意味に直結する効果です。
これらのカードは相手の手札をすべて確認できます。
しかも、先行1ターン目で使用できれば相手のリソースをすべて確認することができます。
(後攻ドローの1枚を除く)
これができると何ができるかというと、
何がノーリスクハイリターンな行動か分かる
というメリットが得られます。
ハイリターンなカードや行動には大抵何かしらのリスクがあります。
例えば、
《首領・ザルーグ》は通れば強力な効果を持っていますが打点が低く、返しに弱く大抵の下級モンスターに戦闘破壊される
転じて《大嵐》が存在するが故に、バックを多く敷くほど守りが強くなる代わりに大量破壊のリスクにさらされる
同様に《激流葬》が存在するが故に、モンスターを大量展開するほどビートダウンが早くなる代わりに大量破壊のリスクにさらされる
など。
これらにリスクが存在するのは『特定のカードを相手が握っている可能性がある為』です。
ピーピングはこの可能性が存在するかを明確にしてくれます。
そしてリスクが存在しないと分かればノーリスクでハイリターン行動を取れます。
例えば、相手が《大嵐》も《激流葬》を握っていないのであれば、罠カードをすべてセットして《首領・ザルーグ》+他モンスターによるビートダウン&ハンデスを複数回狙う、などです。
ピーピングによって序盤数ターンで優位を確立し、実質ゲームをほぼ終わらせることが可能となることがあります。
よって、ピーピングハンデスカードを先行1ターン目で引けた場合は、ノータイムで使うのがセオリーです。
その他の5枚のラインアップが事故気味で、どちらかと言うと耐えて『リソースバランスを整える』ことが必須な場合は先行1ターン目で引けても使用しないことはあります。
(『ハンデスカードを使った』というのは相手からしたら一つの情報でははあるので、ピーピングによるリターンが極めて薄いなら不用意に使用は避ける。が、そんなケースは少なくあくまで例外的である。)
自分が先行1ターン目で引けた場合は基本使ってしまえばいいので楽ですが、問題は相手の先行1ターン目にこちらがピーピングハンデスカードを食らった場合の対処です。
④ピーピングハンデスカードをプレイされた場合
これは相手の手札状況によっては、カードアドバンテージを与えることを避けられないケースもあります。
ですが、できることはとにかく『ピーピングによって開いた情報差を埋めること』しかありません。
その為の原則は『なるべくアクションを取らないこと』です。
まず、③で述べたピーピングには1つだけ穴があります。
それは『後攻1ターン目のドローフェイズでドローしたカードは分からない』という点。
ピーピングを使用した相手からしたらこのカードだけが裏目な訳です。
そして、続く後攻2ターン目には2枚のカードが分からない状態となります。
そんな調子なので、
なるべくカードをプレイせずにターンを過ごすほどにピーピングによる情報差は薄まっていく
ということになります。
なので、ピーピングを食らった場合は、出来る限り自分からは動かず硬直状況を作り、ターンを送っていくことが手堅いプレイとなります。
これはピーピングで相手に知られているカードも含めての話です。
ヤケになってもうバレてるからと適当にカードをプレイするのは最悪で、
相手からしたら待ってましたと言わんばかりにうまくカモにされ、カードアドバンテージを奪われる展開にもっていかれる可能性が高いです。
出来る限り何もしないことが重要です。
イメージとしては先行1ターン目に取る行動に近いことをするのがよいです。
裏側守備+バック1枚などが一番無難。
もちろん、相手の盤面や、後攻1ドローの内容次第で変わってくるのですが、原則としてはそんな感じです。
*
序盤の戦い方についてはそんな感じです。
ここまで述べた内容はあくまで、基本行動とよくある展開の一例に過ぎないので、必ずしも正解ではないです。
ケースバイケースで最善行動は変わります。
その辺の細かい対応力は経験によって培っていきましょう。
以上、04環境における『序盤のゲームメイク』についてでした。
次回の記事では『中盤のゲームメイク』について解説します。