結論

 四六時中アンテナを張って興味のタネを手に入れ、四六時中、考えて探究の根を伸ばし、表現の花を咲かせるまで根気よく育てる。
 探究の根を伸ばすために、常識から離れて身近なものや課題を様々な角度で眺めたり、無心で思いついたことをメモしてアイデアを貯める。表現の花が人々に価値を与える。

 旅行で学んだクリエイティブシンキング

「13歳からのアート思考」という本に出会ってから、アートに興味を持ち、旅先で美術館を訪れる機会が増えました。アーティストの意図を読み取ったり、作品の背景を知ることも面白いと感じました。 
 また、横浜市みなとみらいにあるカップヌードルミュージアムでは、日清食品の創業者であり、インスタントラーメン、カップラーメンの発明家でもある安藤百福の生涯、日清食品で販売されたインスタント麺の歴史を学べるだけではなく、自分だけのチキンラーメン、カップラーメンを作る体験ができます。カップラーメンミュージアムについて、詳しくは、下記の記事で紹介しております。


感想は、子どもだけではなく、大人が行っても楽しんで学べる設計がされていると思いました。
 カップヌードルミュージアムでは、クリエイティブシンキングを学びました。今回は、旅行で学んだクリエイティブシンキングについて、参考文献で補足しながら解説します。参考文献は最後に掲載していますので、興味をもって読んでみたいと思いましたら、ぜひ購入してみてください。


 

 安藤百福(1910~2007)

 インスタントラーメン、カップラーメンの発明家、日清食品の創業者。
 開発の秘訣は、好奇心とクリエイティブ思考、あきらめない精神。クリエイティブ思考は以下の6つのキーワードがポイント。安藤百福の発明から、6つのキーワードについて解説します。

  クリエイティブシンキングの6つのキーワード

まだないものをみつける

「なぜ、~しないんだろう?」「あったらいいな」というものを探す。
 人々にとって必要なもの、悩み、時代が求めているものについて、アンテナを常に張ることが大事です。また、コミュニケーションで傾聴を特に意識することによって相手の悩みを聞き出すのも一つの手です。
「家庭でも手軽に食べられるラーメンがあればいいのに」

なんでもヒントにする

 知識より知恵を出すヒントは身の回りに転がっています。自分の周囲を見回したり、身近にあるものを様々な角度で見て考えることによってアイデアが浮かぶことがあります。
 例えば、天麩羅とインスタントラーメンの関係。
 麺の乾燥のため、天日干しや塩漬けをして水分をとばすことを試しましたが、どれもうまく戻すことができず、失敗。しかし、夕食で妻がてんぷらを揚げるのを見ているときに、ひらめきました。天麩羅を揚げるとき、衣から水分が水蒸気の泡となって弾き出され、衣がサクサク食感になります。これを麺の乾燥に利用しました。揚げることによって麺の水分が弾き出され、麺の内部には小さな穴が空いた状態になります。お湯を注ぐことにより、その穴にお湯が入り込み、麺が戻ります。それにより、インスタントラーメンの開発ができました。
 

アイデアを育てる

「一本の木としてより森を作って発展したほうが社会にとって好循環を生み出す。」
 発明はみんなにつかってもらうことで、切磋琢磨しながら進化できます。よいものを提案して、シェアすることで社会全体の発展に貢献できると期待できます。
 インスタントラーメンの誕生後、他社で粗悪な類似品が出回るようになったため、消費者のために特許を公開してインスタントラーメンを産業化にして、よりいいものを他社同士切磋琢磨しながら新しい技術開発や品質向上に力を入れました。

常識にとらわれない

「明日になれば今日の非常識は常識になっている。」
 場所、時代が変われば、文化、常識も異なります。今日までは非常識だったものが、一夜明けると常識になっていたものも中にはあります。
 カップ麺の開発のきっかけは、アメリカへチキンラーメン売るときに箸、器に入れるのではなく、チキンラーメンを砕いてからカップに入れてフォークで食べているのを見たため。日本とアメリカでは文化が違い、日本と同じように箸で食べなくていいと気づかされました。

あらゆる角度からものを見る

 もっとよい方法はないか、別の視点からアイデアを出せないか自分に問いかけるのも重要です。課題や身近にあるものを様々な角度で見て考えることも重要です。
 カップラーメンを開発するとき、一番難しかった課題が、カップへの麺の入れ方。麺をカップに入れるのではなく、カップを麺の上に被せてひっくり返して入れることで開発に成功。

決してあきらめない

 失敗してもくじけない。財産を失うことがあっても、経験が身について、同じ失敗を避けたり、傾向を知り、対策もたてやすくなります。
 あきらめずに常に考え続けて試作と改善を繰り返すことによって、いつかアイデアは生まれます。また、継続して成果が出なくても、その分野を信じて粘れば、離脱する人が多くいるため、続けるだけで周りと差がつけられることもあります。成果はあるとき、突然現れるものです。
 「発明はひらめきから、ひらめきは執念から」、「四六時中、考える習慣を身につけろ」という名言も安藤百福さんは残しています。
 チキンラーメンの海外展開のため、アメリカ訪問ヲしていた安藤百福。現地で、チキンラーメンを砕いてカップに入れてフォークで食べるというアメリカ流の袋麺の食べ方を目の当たりにして、カップ麺を作ろうと決意しました。しかし、販売するまでには5年かかりました。5年間、カップの素材、カップへ麺の入れ方など一つ一つ課題をクリアしていきました。途中、困難がありましたが、あきらめなかったのがカップ麺の開発に至った要因の一つに挙げられます。

 アート思考

 「自分の内側にある興味をもとに自分だけの視点で世界をとらえ、自分なりの答えを探究をし続けること」
 興味のタネをまいて、探究の根を育て、表現の花を咲かせる。

興味の種

「なぜ?」「こんなものがあればいいのに」という疑問がベース

探求の根

 自分なりの理想のもの、答えを見つけるまで、ひたすら探求。探求すればするほど、根を伸ばし続けたり、複雑に絡み合いますけど、地中深くでひとつにつながるときがきます。これが、ひらめきです。

表現の花

 探究の根が繋がった瞬間、華麗に咲きます。これが、自分なりのアイデアです。変化があって花が枯れても探究の根を伸ばせば表現の花は復活できます。
 アート思考について、詳細は、下記ブログをお読みください。
 

 まとめ

 共通していることは、表現の花を咲かせるまで興味のタネを辛抱強く育て、探究の根を伸ばし続けたこと。探究の根を伸ばす段階で、身近な物事を視点を変えて見たり考えたり、思いついたことはメモするなどの工夫が大切です。 
  
カップヌードルミュージアム横浜
安藤百福発明記念館横浜
営業時間  10:00~18:00 (最終入館17:30)
定休日    火曜日、年末年始
入館料   大学生以上500円
アクセス  JR桜木町駅から徒歩12分
      東急みなとみらい線みなとみらい、馬車道駅から徒歩8分
 

 参考文献