確実に一歩ずつ。 | World journey diary

確実に一歩ずつ。

小学6年生の時、3015mの立山に登らされた。
登りたくないのに、学校の行事として。
子供ながらに、辛かったのを覚えてる。

だからって訳じゃないけど、この旅の中で、高い山に登るチャンスがあっても、登らなかった。
登ろうとも思わなかった。

なのに、6088mのワイナポトシに登ることにした。
初めのうちは、登った人の話を聞いても、誘われても、登らないと言っていた。

だけど、この数日前に、同年代の女友達が、7000m近いアコンカグアに登頂成功してた。
必要な物を、自分で全て担いで、2週間。

それを見て、触発されたw 流されやすいんだよね。

彼女はキリマンジャロなどの経験がある。
私はない。

この頃、ふとした瞬間にはいつも、それまでの旅を振り返ったり、これからのことを考えていた。
考えれば考えるほど、登りたいという感情が湧いた。
甘いものじゃないとわかってる。
それでも、自分の限界とまではいかないけど、自分に試練を与えたくなった。
いろんな意味で。

決めた理由はもう一つ。
2泊3日と短いし、なんといっても、入山料が他に比べて安い。

アマゾンからラパスに戻って、ツアーの申し込みをした。
トモくんとノリくんと、3人で行くことになった。

ここで、P-chan、ワタルくん&マナカちゃんとはお別れだ。
ラパスまで来てくれたおかげで楽しかったよ。ありがとう!また日本で会おう!

ツアー前日、夕方から悪寒が止まらなかった。
熱がある感じ。ラパスに戻ってから、お腹の調子も良くない。
次の日からワイナポトシなのに。。。
とりあえず、暖かくして、早めに寝た。

朝起きてみると、すっきりまではいかないけど、どうにか、大丈夫そうだ。

3人が出発の準備をしてると、ガイドのミゲルがめっちゃ急かしてくる。
せかっちで、いつも無駄にテンション高いw
この先の3日間、ミゲルにイライラすることが多かったなw

山に向かう途中で、必要な物を買って、車でベースキャンプまで行った。



この時点で4800m。
もうすでに、人生の中で、経験をしたことがない標高。

寒い。何をするにも、すぐ疲れる。息がしづらい。
そんな中、裏の山に行き、氷のある所で、アイゼンをつけて歩く練習や、
アイザックを使って、氷の壁を登る練習をした。

ワクワクした。
けど、すでに体力と高山病の心配が出てきた。
それでも、写真を撮りながら遊んでた。

夕飯までの時間、トモくん、ノリくんはロープワーク。
なんか2人見てると兄弟みたいだったなw



夕飯を食べると、何もすることないから、寝るだけ。
でも、寒くて、息苦しくて、何回も目覚めてしまう。

朝はゴハンを食べ終わると、ミゲルに急かされ、出発準備を。
いつも自分が言った時間よりも早く行動をおこす。時間言わなきゃいいのに。

出発すると、昼ごはんの準備があると、さっさと登っていった。
もう一人のガイド、ロドリゴが案内してくれた。

岩山をただひたすら登る。
息が苦しい。辛い。けど、1歩ずつ確実に登る。
ロドリゴ、トモくん、ノリくんとの、体力の差がでる。だいぶ先に3人の姿。

ただ前に進むことだけを考えていた。



330m登るのに、こんなに大変だなんて。。。
小屋が見えたときは、ホッとした。けど、それと同時に不安が押し寄せた。
「登頂できるんだろうか?」



着くと昼ごはんが用意されてた。どうにか食べれた。
下に居た時よりも確実に食べれなくなっていた。

夕飯まで寝て過ごす。

夕ごはんは、昼より食べれなくなっていた。
体力のことを考えると、しっかり食べないとダメなのに、スープしか食べれなかった。

出発は深夜。それまで、また寝て過ごした。
出発前に、バナナやパンなど、軽い物を食べた。

外に出てみると、すっかり銀世界。
「ムチョ フリオ(めっちゃ寒い)」を連発しながら、アイゼンをつけ、小屋の裏側から、雪山を登り始めた。
この日のチャレンジャーは、うちら3人に、前日から一緒のスイス人カップル、当日に現れた欧米人3人。



歩きなれないアイゼンをつけての雪山。
新雪で歩きにくく、体力も消耗する。

高山病にならないようにと、ゆっくり、でも、確実に前へ。

途中、ラパスの街の灯りが見えた。キレイだった。
月が、星が、流れ星が、雪山が美しかった。

「絶対に登頂して、上から朝日をみてやる!」
そんな想いとは裏腹に、足は重く、前方との距離が開いていく。
脱落者も出てた。



それでも、確実に1歩ずつ前へ。
こんなにツライなんて、いつぶりだろう?

部活を思い出した。
毎日毎日、ツライ練習をして、少しずつ成長して、でも、そのときには分からなくて。

いま自分は成長できているのか??って。

それでも、前に進むしかなくて、進みたくて、
ただひたすら、雪の道を歩き、氷の壁を登り、上を目指した。

ただただ歩いた。
何も考えず、ロドリゴ2人、暗い雪山を、ただただ歩き続けた。


そんな中、前方から下ってくるグループが現れた。
そのガイドとロドリゴが、スペイン語で何やら話をしている。
話し終わると、また下っていった。

高山病で脱落かな?と思った。
その瞬間、「下りよう」と、ロドリゴ。

???意味分からん、なんで下りんといけんの???

「今からだと、時間が間に合わない。小屋に戻る時間と体力を考えると、下りないと。」
え?時間?そんなん聞いてない!
自分の体力を棚上げにして、時間のことを言わなかったミゲルに腹が立った。

「何時までなら大丈夫?ここからあとどのくらい?」と食い下がった。
「着く頃には、下山を始めてるよ。もう少しだけ登るかい?君次第だよ。」とロドリゴ。

納得のいかない私は、もう少し登ると伝えた。
さっきの人達もそうだったんだ。

もう間に合わないのに、なぜ登るのか?自分でも分からない。
登りながら、悔しさがこみ上げる。

しばらくして、ロドリゴが声をかけてきた。
「そろそろ戻ろう。」
 「うん。」


来た道を引き返す。悔しい。。。

そんなとき、人一人通るのがやっとで、氷の崖の所でアイザックを落としてしまった。
頼るのはロドリゴしかいない。
ロドリゴの指示通り、落ちないようにと、壁にへばりついた。

「ここで落ちたらどうなるんだろう?助けなんて来ないな。」なんて考えたりした。
でも、やっぱりガイド。
落ち着いて対処してくれて、2人とも無事だった。

しばらく下り続けると、足がガクガクと力が入らなくなってきた。
足がもつれて、横に倒れたら、転がっていくようなとこばかり。
さっきの件も考えると、下ってよかったんだと思った。

登頂を果たしたとしても、自分で帰ってこれないと意味がない。
体力の無を実感して、余計に悔しさがこみ上げた。



やっぱり、頂上から朝日を眺めたかったなぁ。。。

小屋に着くと3人寝ていた。女性陣、全滅w
この日、登頂できたのは、3人だけ。さすが、6000m級。

結局、私が登れたのは、5900mほどの所まで。
初心者がそう簡単には登れないよねw

日本帰ったら、まず富士山に登ろう!体力をつけよう!
そう思った。


みんなが帰ってきて、少し休むと、早々とベースキャンプまで下山。
あんなに苦しくて、ツライ想いをして登ったのに、下りるのは早い。

なんだか切なくなったw



登ってきた時とは、全然違う。
天気がいいだけじゃなく、悔しい想いはあるけど、なんだか晴々した気分だった。


ラパスの街、宿に戻り、体力のつく、おいしい物を食べようと、コリアンタウンに。
夜には、有名日本食屋、けんちゃんに行った。
両方とも、おいしかったな~。



いろんな感情が沸き起こった、ワイナポトシ登山。
こんな風に何かに挑戦するって、苦しいことも多いけど、ワクワクするもんだ。
それを改めて実感できて、とてもいい経験にだった。

これからも、確実に一歩ずつ前に進んでいきたい!
いろんなことを乗り越えながら。



michi☆