当たり前ですが、土地がなきゃ図面も書けないんですね。

じゃあ、土地を探しましょう、となったんですが、自分の家づくり一番最初の難関が待っていたんです。

土地がない。

 

オープンハウスに行きながらも、ネットで土地を探しては旦那と見に行くというのは、ちょこちょこはやっていたんです。

「商店街から徒歩圏内」の目ぼしい土地を見つけては、この辺りがいいねーとか、この辺りまでだったら大丈夫かなーとか、ここに建てられたら素敵だねーとか。

全然、甘かったんですね。

2社に絞った建築会社が、同時に土地探しに加わってくれたことで、自分たちの知識のなさに呆れるばかり。

こんなよさげな土地見つけたんですけどー、とか言って資料を持っていくと、

「まず、希望の家を建てるには、建坪が○○くらいになりますから、〇〇坪の広さがないと」とか、

「広すぎます。余します。」だとか、

「高すぎます。」だとか、

「カーポートを2台分作りたいなら、間口がこのくらいないと」だとか、

「土地は天気のいい日の昼に見ないとわかりません」だとか、

「ここの土地は冬、となりの家の雪が落ちてくる可能性があります」だとか、

「土地の前の電線がじゃまですから、業者に問い合わせてみます」だとか、

「日中日当たりが悪いのが気になります」だとか、

「今はまだ日当たりがいいですが、隣の家が若干古いので、もしも壊されて背の高い建物を作られると日当たりが殺されます」だとか、

「前の道が私道なので、除雪状況を確認してみないと」だとか。

もう、この人たちは土地の粗探しが趣味なんじゃないかと疑うくらいのダメ出しの連打で、心折れました。(笑)

もちろん、双方の建築会社の営業の方々は自分の為を思って、本当に一生懸命やってくれていたんですが、自分は「あ、ちょっといいかも。」とか思っていたところが全部ダメになるので、正直、きーっとなっていたんです。

「こんなんじゃ、土地なんてみつからない!」

 

そう。

土地が見つからないのならば、家を作るのは、やめればいいんです。

今も心にしっかりと留めてある、「条件に合わないのであれば、家を建てるのをやめた方がいい」というのは、この土地探しで学んだような気がします。

予算的にだとか、スケジュール的にだとか、土地的にだとか、そういうところで妥協やうまくいかないことが出てきたとき、いつでもそれを止める心構えをしておくこと。

そして、絶対に無理をしたりしないこと。

土地を諦めて結局は今の賃貸よりも不便なところに家を建てるだとか、カーポートの予算がなくて除雪を覚悟するだとか、ローンを無理して生活を切り詰めるだとか、家というのは生活を豊かにするものではあるけれど、生活そのものではないと思うんです。

生活が苦しくなったり、不便になるくらいなら、家なんて建てないほうがいい。

自分は、もし土地が本当にないのであれば、家を建てるのは諦めようと思っていました。

一年延ばすのは絶対に嫌だったので、今年見つからないなら、建てないと。

あの時、建築会社双方から、「無理です、全然土地がありません。もう少し範囲広げられませんか。」と頼まれても、「それはちょっと…。」と妥協しなかった自分は、正解だったのだと、今になって思います。

それが運命なら、いつか、出会えるものです。

家を建てた先輩たちから、「とにかくオープンハウスに行きまくれ。家を見まくって、建築会社を慎重に選べ」という助言を頂いたので、オープンハウスには足を運んでいたのですが、結果からすると、実は、ほとんど見てません。(笑)

10軒くらいです。

 

なぜかといわれると、まず、時期が悪かったからです。

適当に家を建てようと思いついたのが、もう去年の10月の終わりでした。

どこのオープンハウスでも営業の方に聞かれるのが、「土地はお決まりですか?」なんですね。

知識も何もなかったのですが、実は土地というのは雪が降ると探せなくなるらしいんです。

まあ、言われてみればそうですよね。

雪が積もってしまうと、土地の境界線がわからなくなってしまったり、高低差がわからなかったりとかするんですね。

「土地はまだなんですけど、来年中には建てたくて―。」なんて呑気にしてると、「探させてください。がんばって急ぎます!」とか真面目な顔で言われるので、「ああ、そうなんだ。急がなきゃならないのか…。」と実感してみたり。

 

見学をほとんどしなかった、もうひとつの理由は、建築会社を最初から少し絞っていたからです。

最初から「ここはないな」と思っていた会社のオープンハウスは見にも行きませんでした。

まず、周りの友達や知り合いが建てている建築会社をほとんど除外しました。

友達や知り合いの新築に遊びに行って「素敵だなあ」と思ったことがなかったからです。

これは、本当に、個人的な趣味です。

もちろん、自分の友達や知り合いの家に行って、「本当におしゃれ」だとか、「素敵」だとか、「こんな家に住んでみたい」だとか言う人は本当にたくさんいて、その人たちは、本当に心からそう思ってるんでしょうが、自分は特にそうは思わなかっただけです。

多分、注文住宅とはまさにそんなもんで、分譲マンションや建売なんかと違って、別に他人になんて思われてもいい、自分たちさえよければそれでいいものを叶えられるものだと思うんです。

万人から好かれる、ごく標準の素敵な家に住みたいのであれば、もう出来上がったものを買えばいい。

それらはそういう風にできている。

そうではなく、自分たちだけが満足する家を作りたい。

だから、自分がこれから作る家を、他人からどう思われても構いません。

むしろ、「変な家」って言ってもらえた方が嬉しいです。

 

すごく横暴ですが、同じような理由からハウスメーカーを除外しました。

実は、一番最初に見に行ったオープンハウスは大手ハウスメーカーで、今でも、一番いい家を作りたいのであればそこに頼むべきだと思っています。

自分の住む北海道の田舎にも、全国CMで目にする誰もが知っている大手ハウスメーカーが沢山家を建てていて、実際うちの町で一番建てているのは工務店ではなく、それらだそうです。

流石全国大手だけあり、まず建築技術が素晴らしく、各メーカーの推してくる工法に驚くばかり。

(まあ、営業さんも大手ですから、田舎の工務店とは違うのでしょうが…。)

水回りの設備や、収納棚なんかも、大手メーカーと共同で開発した、「この設備をこの値段で提供できるのはうちだけですよ!」的なものがたくさん揃えられ、確かに、今思えば、それらがオプションとしてあれば、もっともっと今頃チョイスは広げられました。

建築費用も、「ハウスメーカーはやっぱり高いなあ」と当時は思っていたのですが、結局は今の工務店と大差はなかったような気がします。

 

でも、大手ハウスメーカーが作る家って、よくある「しっかりした家」なんです。

パンフレットやカタログに載っている、コーヒーを飲みながらソファーで寛ぐ夫に、キッチンで優雅に料理をする妻、当たり前のように広い子供部屋が用意され、リビングで勉強らしきものをしたり、庭で駆けまわったりして遊び、それを犬が追いかける。

時には爺婆までが同居し、「世代を超える家」的なアピール。

強く感じる、「これじゃない感」。

自分、ゲイなんです。

旦那がいるんです。

二人で住む家を作ってほしいんです。

家族はできないんです。

静かに暮らしていきたいんです。

なるべく、人の迷惑にならず、陰で静かに生きていければいいんです。

二人死んだら、家は売るか取り壊すかして欲しいんです。

世代なんて、超えなくていいんです。

それを一切受け入れてもらえないんじゃないかと思わせるくらいの、しっかりとした、堂々とした、家。

 

もちろん、これは自分のイメージというか、被害妄想に近いものがあり、大手ハウスメーカーだって、間取りを頼めばそういう風に作ってもらえるし、ゲイカップルの家だってなんだって、頼んだら喜んで作ってくれるでしょう。

ただ、その家族が住むであろうオープンハウスの圧倒的な「家」の放つ温かさに、圧倒されてしまったのです。

 

旦那と自分が二人で住む、小さな家。

全国どこを探しても、そこにしかない、ふたりが静かに住むのに十分な家。

それを作ってくれそうな、それでもちょっとクセの強い北海道の田舎にある工務店2社まで絞り、図面をお願いすることにしました。

さあ、家を建てましょう、と言っても、突然思いついたので、知識も情報も何もなく、何から始めていいのかさっぱりわかりませんでした。

とはいえ、5年近く一緒に暮らしているのですから、大体お互いが欲しい家のイメージだけはあったのです。

 

①商店街から徒歩圏内

自分は仕事やプライベート含め、前より数はかなり減ったにしろ商店街まで飲みにいくことがあり、そういう時は運動も兼ねて歩いていくことが多いんです。(冬はもちろんタクシーですが…。)

また、駅からも近いとタクシー代もそんなにかからないので、商店街から近いのは必須です。

 

②ビルトインガレージかカーポート

雪国に住んでいるので、カーポートも必須。

今のアパートがビルトインになっていて、前が私道になっているため、ほぼ除雪の必要がない生活を一度でも体験してしまうと、雪はねのある生活になんて戻れません。

出勤前に車に積もった雪を落とすなんて、もう考えられない!

屋根万歳!

 

③天井の高い30畳のリビング

「倉庫みたいな家に住んでみたい」

それは、自分が留学していたころからの憧れです。

当時、大学の先輩が倉庫を改造した住宅(というか、あれはそのまま倉庫に近かった)に、幾人かの人たちとシェアして暮らしていて、かっこいいなあと思っていました。

ボストンやNYは文化保存されているレンガ造りの建物は壊すことができないので、そのまま中を改装してアパートやコンドミニアムとして使っていることが多く、昔からだだっ広いあまり細かく区切られていない空間に住んでみたいと思っていました。

アメリカで憧れていた、「倉庫みたいな東海岸の住宅」を、北海道で再現したかったのです。

※実は、その後、この条件だけは妥協しています。

二人で住むにはあまりにも広すぎるし、光熱費がかかりすぎるということで、実際にはリビング&キッチン25畳で諦めました。

 

④クイーンサイズベッドが置ける10畳以上の寝室

引っ越しを検討していたひとつの大きな理由に、今のベッドがあります。

当時今のアパートに入居したときは、まさか旦那と暮らすことになるとは思ってもなかったので、ベッドはひとりでちょうどいいようにダブルサイズを購入していたのです。

「別々に寝るようになるくらいなら別れる」

とまで自分は昔から思っていて、なので、今はダブルサイズに中年のおっさん二人が窮屈に収まって眠る毎日なのですが、さすがに狭い!

男ふたりが十分余裕を持って寝られるサイズ、となるとやっぱりクイーンを買いたいと思っていました。

ちなみに、10畳というのはクイーンサイズベッドを置いて、更にスペースの取れる間取りを適当に逆算してみただけです。

 

他にも、「リビングにでっかいテレビとホームシアターサウンドシステムが欲しい」とか、「十分な収納スペースが欲しい」とかはありますが、メインとなるのは上の4つです。

むしろ、上の4つが叶えられないのであれば、今の賃貸でも十分なので、家は別に無理して建てなくてもいいかなあ、くらいに思っていました。

そして、そういう家を建てるためには、いくらかかるのか、大体建てるのは可能であるのか、建てるためにはどうすればいいのか。

それを調べたり相談するために、いよいよオープンハウス巡りの日々へと突入しました。