金融庁が中小企業金融円滑化法案の素案を開示=総合パッケージを再来年3月まで、罰則も | ワールドフォーラム・レポート

ワールドフォーラム・レポート

真実が未来を開く学び舎・実践塾
マスコミが報道しない出来ない本当の情報・ニュースを広く伝播・共有する場として、各方面よりその分野の第一人者を講師としてお招きし39年継続している勉強会です。


ワールド・フォーラム経済レポート

ワールド・フォーラム経済レポート  金融庁は20日、第2回政策会議を開き、「貸し渋り対策法案」の概要を明らかにした。金融機関に貸付条件の変更などを促すことによって中小零細企業への融資に配慮する内容で、期限は2011年3月まで。罰則も設けている。

 会議には、与党3党から50人ほどの議員が出席。大塚耕平副大臣が中小企業を取り巻く経済状況とこれまでの対策、素案策定の経緯について説明した後、非公開で質疑応答があった。


「モラトリアム法案」「貸し渋り・貸しはがし対策法案」などと呼ばれてきた同法案だが、仮称を「中小企業者等に対する金融の円滑化を図るための臨時措置に関する法律案」とし、略称は「中小企業金融円滑化法案」を望むと大塚副大臣が述べた。

第1回は法案の5本柱が示されただけだったが、今回は各項目の概要と実効化のための措置を示した。銀行や信金・信組、農林中金など、各金融機関は中小企業または住宅ローンの借り手から返済猶予(ゆうよ)をはじめとする貸し付け条件の変更などがあった場合、できる限り応じるよう努める。

金融機関にはそのために必要な体制整備を行うとともに、実施状況や整備体制を開示するよう義務付けている。実施状況は行政当局へ報告し、当局は報告を取りまとめて公表する。虚偽の開示や報告があった場合は罰金、悪質な者に対してはそれ以外の罰則を科す。

法案の実効性を高める検査・監督上の措置として、行政庁は検査マニュアルや監督指針の改定、中小企業融資・経営改善支援への取り組み状況を重点的に検査・監督することを盛り込む。

政府系金融機関への要請や信用保証制度の拡充など、他省庁の所管事項にも触れているため、「金融庁だけでない、総合的なパッケージ」と大塚副大臣は素案の性格を強調した。

第2次ワーキングチームでの検討終了段階では時限立法で期限を1年としていたが、資金需要の高まる年末と年度末各2回ずつを捕捉するため、素案では延長した。

会議終了後の記者会見で大塚副大臣は「金融庁の検査が厳しいからとか不良
債権に分類されるかもしれないから応じられないなどと口走った場合、商工会や商工会議所を通じ金融庁に上がってくるように指針を出す。金融機関には相当プレッシャーが掛かるだろう」と述べた。

当局への報告頻度は金融機関が四半期ごと、その他の金融機関は半年ごとと説明した。【了】



■関連記事
亀井金融相が景気対策と一体となった中小企業支援を強調
「貸し渋り対策法案」は1年の時限立法で
亀井大臣が自公と別の景気対策を強調、PJも出席可能な「第二会見」で
【書評】『お金がなければ刷りなさい』小野盛司・中村慶一郎共著(ナビ出版)
ジャーナリズムの本当の目的

■関連情報
高橋清隆の文書館
偽装報道を見抜け!―世論を誘導するマスメディアの本質


パブリック・ジャーナリスト 高橋 清隆