「そいつはただ、独ぼっちだっただけさ


自分以外の誰ともゲームを楽しめない


夢の中で生きているような


そんな男だった」



「お前は幸せを見たことがあるのかい?」




「自分が見たり聞いたりしたことだけが全てじゃない


それにだ


お前が疑いもせずあると信じてる"それ"が


嘘じゃないとどうして言える」



「俺は誰なんだ?


どこまでが俺の意思だ?」



「お前という男は実在しないんだ


自分や他人の記憶を照らし合わせたときに


それらしきものがなんとなく在るというだけだ」



「自分が自分である為には驚く程多くのものが必要なの


他人を隔てる為の顔


それと意識しない声


目覚めのときに見つめる手


幼かった頃の記憶


未来の予感」



「今までお前さんが生きてきた証が全て夢だとしたら?


この瞬間もな」



「教えてくれ


お前は誰だ?


なぁ、俺は誰なんだ?」



「思い出をその記憶と分つものは何もない


家で待っている女房や娘が本当にいるかどうか


いや、そもそも自分は未だに独り者で


どっかの部屋で家族の夢を見てるんじゃないか


それを確かめてみたくはならないか?」



「神は死んだそうだが


お前らの方はどうだ?」



自分の記憶が自分のモノじゃないなら 存在なんてまるでただの映像みたいだ