ご訪問ありがとうございます。大志と申します。下記の物語は創作です。
(三)
「しかしあれだね。重い持病を抱えながらも辞めることなく仕事してる。あなたは充分強い」
由香里さんは車のハンドルを握り、バランスよく車を運転しています。
遠くの信号が黄色になったので、由香里さんは速度を落としました。
「そう思ってくれるんだ」
「思うわよ。わたしがあなたの立場だったら、確実に萎えてるわ」
萎えてる、か。
「だったら由香里さんも強いよ。あんな人が沢山いる環境で、ストレスを感じることなく、毎日を送っている」
「残念。わたしは自分のことを強いだなんて思ったことない。人に恵まれているだけ。私の周りにいる人たちのほうが強いわ。それに、私からすると、あなたも人に恵まれてる」
恵まれている。
東京から新幹線に乗り、京都で特急に乗り換えて、八鹿駅で降りる。八鹿駅からバスに乗り、実家に近いバス停で降り、実家から自家用車でグループホームに向かう。
私はどういう経路で帰るのか聞いたところ、由香里さんは的確に答えてくれました。