昼からはぶらぶら街を歩いてみることにした。
街を歩くと、それだけで沢山の発見がある。
これもその一つ、何とキューバには広告というものが全くない。

考えてみればまあ当然なのだが、社会主義国であるキューバには広告など必要ないのだ。
そう考えると、広告であったりコマーシャルであったりがいかに人々の購買意欲、かつ企業の売る戦略として根深いかよく分かる。

当面の僕の問題は、広告が全くないため目印が皆無に近く、かつ建物が皆同じような感じなので直ぐに道に迷ってしまうことだが。

取り敢えず、中心街に来ても全く中心街の感じがしないのである。中心街でも、一本道をずれれば、洗濯物を干していたり、子供が野球に興じていたり、大人がドミノを路上で楽しんでいたりと一気に生活臭が漂う。
これが、どの国とも違うキューバの街の個性なのかと思う。

そのときは地図もろくに持っていなかったので、当てもなくふらりふらりと裏道を、気分のままに歩く。

そんなこんなで歩いていると、一際大きなルンバの生演奏が聞こえてきた。
音楽が聞こえる方へ耳を頼りに歩くと、ルンバの生ライブと出くわした。地元の人間もこの狭い裏路地に大勢集まっている。

ライブを見ていると、色んな連中から声をかけられる。
大体胡散臭いヤツばっかりで「オレはロスバンバン(キューバでとてもポピュラーなサルサバンド)の…と友達だ」とか「日本の…と一緒に演奏をしたことがある」とか。
そして、酒をおごってくれとたかる。

まあこういうのも楽しみの一つなので、僕は彼ら彼女らとダベりながら軽く踊り、ルンバを見ていた。
周りのキューバ人ももうノリノリ。皆楽しそうに音楽に乗って腰を動かしている。そして皆一様に上手い。
彼らのダンスの上手さはきっと先天的なものだと思う。

僕もルンバに夢中になり踊っていた。そんな時、後ろから声がした。

「日本人の方ですか??」

振り返ると日本人の女の子がいた。
キューバで日本人に会うことにも驚いたが、それ以上に僕と同い年くらいの女の子だったことに驚いた。
俄然テンションが上がった。