ほんとにこの日が来るとはなぁ
旅に出て2年と2か月が経とうとしている。
あっという間に過ぎたと感じているけど、
2年2か月もあれば、生まれたばかりの赤子は言葉を覚え始め、歩行を始める急成長を遂げるし、
中学に入学したばかりの子は、中学3年の受験生にだってなる。
実際当時高校生だった私の妹も、いつのまにやら大学生になっていた。
27歳のときに旅に出た私は、もうじき30歳だ。
こう考えるとなんだか重みを感じる。
旅を始めた頃の私がこれを知ったら驚くだろう。
何を隠そう私は小心者で、ビビりの小物だ。
旅に出る前は自分で行くことを決めたくせに、トラベルブルー。
略して『トラブルー』に陥り、
「やだ行きたくない」だの、
「どうしよう殺される」だの、
「ぜったい騙される」だの、
とめどなくネガティブなことばかり考え、無駄に怯えていた。
怖くて怖くて、不安で仕方がなかった。
しかもこのトラブルーはほんとにタチが悪く、加えてほんのちょっぴりのワクワク感も入り混じったりするものだから、ざわざわ乱心して、心が慌しくなる。
旅に出た当初は全然貪欲ではなく、くじけたらすぐに帰ろう。
どんなに長くなっても1年半くらいだろうし、半年くらいで旅を終えることもあるだろう。
そんなふうに思っていた。
そんな心持ちも、時間が経つにつれて、いろんな旅人や現地の人に会って、初めて見る景色に心を奪われていくうちに、少しずつ欲張りになった。
またここに来たい。
今度はあそこにも行ってみたい。
行きたい場所がどんどん増え、いつのまにか貪欲になっていた。
旅の途中の、旅の終わりがまだ全然見えなかった頃は、次はどんなものが見られるのだろうと、まだまだ旅が続くことにワクワクして嬉しくてたまらなかった。
けっこういろいろ見てまわったとは思うのだけど、まだ行きたい所や見たいものがある。
気持ちが切れてしまっている今の状態ではとてもムリだけど、それらはいつかのためにとっておく。
それがいつになるのかはわからないけど。
旅に対して貪欲になり始めてから、もう一度メキシコから旅を始めてみたらと想像すると、きっともっとずいぶんと違った、深みのある旅になっただろうと思うこともあった。
でも、様々な体験を経て今の自分があるわけだから、やはりこれはこれでいいのだと思う。
最初は、ただいろんな世界を見てみたくて旅に出た。
でも、見るだけではなく五感を使って肌で感じること。
知らない世界に刺激されて、私のあまりにも鈍かった感覚が覚醒することで、それに気が付いた。
この旅では、自分の五感を、時に第六感をよく使って、いろんなことを考えて、感じてきた。
心がたくさん動いたり、動かしたり、動かされたり。
動きがメリーゴーランドのようにゆったりとしているときもあったし、
まるでジェットコースターのようにめまぐるしいときもあった。
数え切れないほどたくさんのいろんな感情が湧き出て、時にはどの言葉も当てはまらず、何と言ったらいいのやらわからない、うまく表現できないフクザツな感情にもなったこともあった。
もちろんそれは、いいことも悪いことも含めてだ。
旅を経て、変わった部分、変わっていない部分、それによって成長できた部分、できていない部分、むしろ劣化した部分。
様々な変化を感じている。
私は出発の時期が諸事情により、1年延びた。
でも、それでよかったと心から思っている。
あのタイミングだからこそ出会えた人たち、見られた景色、思いがけない貴重な体験。
どれもこれもあれもそれも逃したくないことばかりだ。
もちろん思うようにいかないこともあったけど、自分の旅がいかにも自分らしくて、ああっ!もうっ!どうしようっ!!というくらい、とても気に入っている。
そう思えるのは幸せなことだと思う。
それともう一つ。
旅という選択ができる環境。
私たちは、進学したり、就職したり、結婚したり、転職したり、働き続けたり、仕事を辞めて旅に出たり、さまざまな選択肢があって、自分で選ぶことができる。
これは、世界では本当に稀なことだ。
中南米、アフリカ、中東、アジアを旅してきて、そういった人生の選択をできない人々のほうが圧倒的に多かった。
選択ができることが幸せで、できないことが不幸だというわけではない。
だけど、私は家族や友達が元気でいてくれるから旅を楽しめること、
日本で生まれて育ったいう自分の置かれた環境の上で成り立つ「選択」という行為が、本当にすごいことで、きわめてラッキーなことなんだと思った。
ラッキーと言いつつも、振り返ってみるとこの旅は、キンキラキンで最高な面もあれば、
宿が汚くて、移動がキツくて、騙されて、ボラれて、ひったくられて、え…なんでこんな所でという町で軽いオペをしなければならない状況に陥って、何度も警察に捕まって、何度もチカンされて、三時間半も部屋の壁をノックされて、
嫌な思いをして泥だらけな面もたくさんある。
だけどいいことばかりじゃ、それがいいことと気付かずに過ごすことになるのだろうと思う。
だから、いろんなカラーが混在していていいと思う。
しているからこそいいのだと思う。
いろいろあるからいいのであーる☝(チカン、ノックはごめんだがな)
私は一人旅だったけど、一人では乗り越えられないことばかりだった。
数え切れないほど多くの人に助けられて、いろんなことを乗り越えてきた。
大半のことが助けてもらいながら、なんとかなることばかりだった。
おかげで少しは度胸がついたと思う。
一人旅のデビューがタイのバンコクで、今私はこの旅の終わりにバンコクにいる。
デビュー当時の私ときたら、トゥクトゥクの運転手のおっちゃんに話しかけられるのにもヒョエエエエエエと怯える始末。
さらには初日から偽警官にさっそく騙され、4万円ほどお金をボラれる始末。
そのせいで最終的には手持ちの現金がなくなったあげく、クレジットカードの暗証番号を覚えておらず、ATMからお金も引き出せないという散々な事態に見舞われた。
だけど、今は違う。
トゥクトゥクのおっちゃんには「よっす!じじい!いらねえよ!」と、
偽警官には会えなかったけど、もし会って話しかけられたら「あ?黙れ。」というくらいの勢いだ。
それもスマイルをつけるほどの余裕もある。
波乱のホロ苦デビューだったけど、苦いことばかりでもなかった。
そのときの旅でタイ人の友達もできた。
この旅の最後の夜は、最初の一人旅で出会ったその友達と会った。
3年ぶりの彼女はあいかわらず超べっぴんさんで、この旅の終わりに彼女に会えたことをとても嬉しく思った。
そして、再会を祝ってビールで乾杯した。
染みる。
ビールはやはりドラフト。
ごはんまでご馳走になってしまい、とても楽しい時間を過ごした。ほんとにありがとう。
なんだか不思議な縁。
そして今夜、いよいよ帰国。
なんだかんだで旅が終わってしまうのは、虚無感でいっぱいで、今にもうずくまってもがきたくなるほど、なんとも説明しがたいフクザツで不思議な気持ちだ。
でも、日本に帰ってからやってみたいことがいくつかできたので、それをひとつひとつ実行していくのがとても楽しみでもある。
なにより、会いたい人たちにひさしぶりに会えるのがすごく嬉しい。
ぎゃおおおお!っと激しくもがきたいけど、激しく楽しみ。
いろんな思いが混沌としていて、心の中では大変な騒ぎです。
目がギンッギンに冴えわたり、眠れません。
連日二時間睡眠でやばいです。
旅の最後も結局乱心という茶番。
もうすぐ日本に帰るのだし、おいしいタイ料理を堪能したいんだけど、ダメ。
カラダが欲していない。
今、この旅で一番日本食を欲している。
カラダはもうすっかり日本モードのようだ。
せっかくタイにいるのにもったいない。
今はそんな状態です。
こんなに長い間、日本で私の安否を気遣ってくれた人、友達。
救援物資を携えて旅先に3度も来てくれた母。
その母に私が好きそうなものを差し入れで持たせてくれたゴ…父。
一年半ぶりの再会がまさかのアフリカで、元気な姿を見せてくれた妹。
あ、弟… うーん ほとんど音信不通だけど生きててくれてサンキュウ!先日超久しぶりに来たメッセージが、「スマフォデビューしました(^-^)/」という内容でブッたまげたけど!(ザ・知らんがな!と、思いきや最終的に長旅おつかれとねぎらってくれたんだけど)
いつも心配してくれている最近ケータイを持ち始めた85歳のおばあちゃん。(メールを送ってみたら、なぜかハイヒールの絵文字付きで返信が来てブッたまげたけど。)
半年間も一緒にアフリカの色濃い旅をして、インドでも再会して、楽しすぎる時間を共有してくれたぱっつぁん。
旅で出会えたすべての人たち。
感謝してもしきれません。
みなさまのおかげで楽しく旅ができたのだと、心の奥の奥の奥の、さらにそのまた奥底から思います。
ほんとに何とお礼を申し上げたらいいのやら。
と言いつつも、すべてに感謝を込めて。
本当にありがとうございました。
日本か、地球のどこかで会えるの楽しみにしてる♡
まだ旅が続く人は気をつけて♡
2012年12月15日 yukayuka♡
しかし、なげぇな。
読んでくれてありがと。