新刊が出来ました。

 

「日本覚醒」(宝島社) ケント・ギルバート著


www.amazon.co.jp/dp/4800257336

 

7月25日(月)の発売予定ですが、早ければ明日にも、店頭に並ぶかも知れないそうです。今夜は、この本の冒頭部分を少しだけご紹介します。
____

 

 

超大国、日本

 

 日本と日本人の素晴らしさを指摘する本は多く出ています。礼賛する本もたくさんあります。しかし、その素晴らしさの理由や要因、そしてその意味を日本人に自覚させる本は少ないように思います。

 

 日本は超大国です。

 

 2016年5月24日に、財務省が日本の対外純資産残高について発表しました。2015年末では2014年末に比べて6・6%ダウンしたとはいっても、世界第1位の339兆2630億円でした。日本は対外純資産が、世界の中で25年間もトップであり続けているのです。バブル経済が崩壊し、「失われた20年」と言われた間も、ずっと世界一だったのです。

 

 資産残高は948兆7290億円。負債残高が609兆4660億円です。その差し引きが対外純資産残高ですが、ドイツの195兆2360億円、中国の192兆3726億円に比べて1・7倍以上、140兆円以上の差をつけてダントツなのです。

 

 19世紀、紅茶や陶器の輸入を通じてイギリスの資産(銀)が、中国(清)に流出し続けました。清はイギリスの輸出品である綿製品を買ってくれなかったのです。銀の流出を止めるために、イギリスは植民地のインドで栽培したアヘンを清に売り始めました。

 

 アヘン中毒患者が急増して風紀が乱れたので、清国政府はイギリス東インド会社のアヘン貿易船からアヘンを奪い、廃棄処分にしました。これが原因で、英清間のアヘン戦争が起こり、清はイギリスに大敗しました。この後、香港の長期租借が始まりました。国の資産が海外に流出することは、国の存続を危うくするのです。

 

 19世紀なら、それを止める目的で戦争が起こりました。対外純資産が世界一の日本は、あり余る資産を海外投資に回す余裕を持った、世界一のお金持ち大国だということです。日本の企業がそのお金で東南アジアや中国、インドなどで投資を行い、工場を建設して現地で雇用を生み出したり、不動産開発などを行ってくれるお陰で、世界中の国々が経済的に潤っているということです。

 

 世界三大通貨とは、米ドル、ユーロ、日本円のことです。かつては「有事のドル買い」と言って、世界経済の先行きが怪しくなると、世界中の投資家はみんな米ドルを購入しました。ところが近年は、「リスク回避の円買い」と言って、みんなが日本円を買います。だからテロなどの先行き不安な事件が起きると、あっという間に円高になります。

 

 確かに円高は、日本企業の輸出にとっては不利ですが、投資家が世界一信用できる国際通貨は日本円だと考えている証拠でもあるのです。中国の人民元が三大通貨になれないのは信用がないからです。日本が超大国であるという現実を少しは実感できたでしょうか。

 

 人口も、減り始めたとはいえ、1億2696万人(2016年6月)。確かに中国やインドの13億人には負けています。しかし、先進国で日本より上にいるのはアメリカの3億2100万人だけで、イギリスやフランスは6000万人強です。ドイツも8100万人強ですし、未だに超大国のイメージが強いロシアですら、1億4600万人です(日本以外は2015年)。

 

 国の経済規模を示すGDPもアメリカ、中国についで第3位です。中国が日本を抜いたといっても、13億もの人口がいての数字です。日本の人口はその十分の一以下です。そもそも中国の統計指標は当てになりませんし、ひとり当たりのGDPを比べたら、中国は日本の足元にも及びません。ロシアにすら負けています。それなのに中国共産党の指導者たちは、どいつもこいつも何であんなに偉そうなのでしょうか。

 

 もう一度言います。日本は超大国なのです。

 

 しかし、日本人にはその自覚がほとんどないようです。日本は超大国なのですよと経済指標を示しても、昔なら自嘲気味に「エコノミックアニマルですから」と苦笑いされるだけでした。いまでも、その状況は大して変わりません。

 

 私は、このことが大問題だと考えています。

 

 GHQ(連合国軍総司令部)のWGIP(War Guilt Information Program=日本人に戦争責任の罪悪感を刷り込む宣伝計画)や、それで刷り込まれた自虐史観について、私は講演や著書で何度も言及してきました。多くの方から、賛同するご意見もいただきました。

 

 しかし、そのような賛同する気持ちが日本人にあっても、日本人は次の行動に移しません。自らの歴史を取り戻し、洗脳の呪縛から脱却し、世界の中で責任ある国家へと脱皮していく。それができていないのが現在の日本なのです。
___
ケント・ギルバート著『日本覚醒』(宝島社) www.amazon.co.jp/dp/4800257336