クリスマスまでにこのシリーズを全部アップさせたいのですが、間に合うかな?(^^;


それではクリスマス商戦の話に戻ります。業種にもよりますが、アメリカでは年間売上げの約60%がクリスマスシーズンのための買い物で成り立つそうです。だから今年は一刻も早く売上げを獲得しようと、多くの店がずいぶん早朝から営業していました。



 この商戦がピークに達するのは1224日、クリスマスイヴです。24日の午前中はどこのショッピングセンターに行っても駐車場は満車ですし、店内も大変混んでいます。しかし殆どの店が午後4時ぐらいまでには閉店して、そして誰もがクリスマスの前夜祭を比較的静かに、家族と一緒に過ごします。



 そして、子供たちは早く寝ます。なぜだと思いますか? それは、自分たちが起きている間はサンタが来ないと知っているからです。子供たちが寝ている間に、サンタクロースはトナカイが引っ張るソリに乗って北極から空を飛んできて、煙突から家に入り(なぜか煙突がない家にも入れるようですが)、子供たちのためのプレゼントをクリスマスツリーの下に置いていきます。そして一夜にして、全世界をそうやって回ります。私は小学生の頃、「そんなことは物理的に不可能じゃないの?」と親に訴えたら、「だって時差があるからできるよ」と言われて、変に納得した覚えがあります。多少マセていてもそんなものですから、子供ってかわいいですね!()



 だから、世界中の人々はサンタクロースが大変「良い人」だと信じていますが、ここで皆さんに真実を教えます。実はサンタクロースは大変「悪い人」です。ホントに最悪です!!

「ええ?!」って? いや、そうですよ。だって、サンタクロースはお金のない家を訪れないでしょ? ひどい経済的差別をやってくれるものです。お金のない家の子供たちはクリスマスの朝に目覚めても、クリスマスツリーの下に何も置かれていません。仮に家にツリーが飾ってあったとしても…。



 私の父は「これじゃいかん!」と怒っていました。そこで私たちの家族は毎年Sub-for-Santaをやりました。この場合のSubとはSubstituteの省略で、「代わり」とか「代役」という意味になります。選手交代の場合は後から入る選手をSubもしくはSubstituteと言い、例えば学校の先生が休んで、代わりの先生がクラスを担当したら、代わりの人をSubstituteと言います。



 父は毎年、お金のない家族を探し出しました。私の父は公認会計士なので、お金がどの家にあるのか無いのか、だいたい分かっていたのです。そして、私たちの家族がサンタの代役を勤めました。私と弟妹たちは自分たちのお小遣いから、対象となる家族の子供たちのためにプレゼントを選んで買いました。その家族の親たちのためのプレゼントは父と母が用意しました。それから小さなクリスマスツリーも買っておきました。だって車で運ぶから、小さくなければ車の中に入りません…()



 1224日。外が暗くなってから、私達は車に乗って対象となる家族の家に行きました。そして玄関の外にツリーを置いて、その下にプレゼントをきれいに並べて置きました。その後、チャイムを鳴らしてその場から素早く逃げて、茂みの中や生垣の後ろに隠れて、その後の様子を見ていました。



 家族がドアを開けて、そこに置いてあるプレゼントに気が付くと、子供たちは「来た!来たよ!やった~!うれしい~!」と飛び上がって叫んでいました。この一ヶ月間ずっと「サンタさんは何を持ってきてくれるのかな~?何がもらえるのかな~!」と、毎日楽しみにしている子供たちを抱えて、すっかり困っていた親たちは、決まって涙を流しながら頭を下げて「神様、ありがとう」とお祈りするようにつぶやいていました。



 一方、茂みの中や生垣の後ろにいる私たち家族は、言葉には言い表せない喜びを噛みしめていました。もちろん私達は翌日の朝、サンタからプレゼントがもらえることを知っています。そしてその時の喜びも分かっています。しかし、その喜びとは全く違います。自分が何かをしてもらったときに感じた喜びを、逆に人に与えることが出来たときの喜びの大きさは、段違いに格別なもので、恐らく経験しないと理解できないと思います。



 このような喜びを、実体験を通じて私に教えてくれた父親に深く感謝していますし、この経験を通じて、私自身が全く違う人間になっていったことを自覚しています。このような喜びは、実際に体験しない限り理解できないものです。私が成長して家を出た後、私の家族が何年くらい続けていたのか分かりませんが、幸いにも私は何度もこの貴重な経験ができました。日本で頑張っている数多くのボランティアの皆さんも、この喜びに支えられているはずだと思います。「義務」や「義理」だと絶対に長続きしないものです。



 さて、シリーズはすっかり終盤だと言うのに、今回は「お歳暮」というキーワードが一度も出てきませんでした!() 次回こそは「お歳暮の話」の最終回です。私はここからどうやって話を繋げるのでしょうか? 次回をお楽しみに!(^^)