外国にいる友人からたまに「日本で働きたいのですが、雇用情報はどのようにすれば手に入りますか?」という相談を受けます。私の最初のアドバイスはいつも「Japan Timesという新聞の月曜日の求人広告欄を見なさい」というものです。
今週、久しぶりに新聞の求人広告欄を見ました(月曜日が祝日だったので火曜日に掲載されていました)。印象として、以前よりも数が少ないこと(季節的な理由かもしれません)と、内容がずいぶん良くなったことの二つを感じました。
昔の広告は性別や年齢の制限を平気で載せていて、アメリカ人の常識からは考えられないような酷いものが多かったのですが、今回は一社だけ「エネルギー溢れる若い人を希望」と書いてありました。しかし、依然として変わってなかったのは「写真付の履歴書」の提出を求めている点でした。
実は、アメリカでは就職活動をする際、履歴書に写真を載せてはいけないことになっています。その理由をご説明しましょう。
連邦公民権法などの法律は、雇用の場面において、極めて特殊な場合を除いては、以下の点を理由にした差別を禁じています。
年齢
性別
出生地
人種
国籍
宗教
身体障害
日本では履歴書の形式が決まっていて、文房具屋さんで売っている用紙に書き込むだけですが、アメリカでは形式は決まっていません。自分に関する情報をどのようにアピールするのかは自由なのです。履歴書とは自分を売り込む「作品」なので、履歴書自体の出来不出来が一つの審査基準になります。
上記の項目は履歴書にはもちろん書きません。例えば年齢ですが、面接の場面でも、年齢を聞いてはいけないことになっています。内定を出してから初めて、会社は年齢を聞くことができます。当然ながら、「家族構成」なんて聞くのは論外です。
なぜ写真を載せてはいけないかというと、写真を見れば上記のことが大体分かるからです。するとその後、会社がその人を雇っても雇わなくても、差別によるものだったと言われる可能性が残ります。従って写真が載っている履歴書は受理されず、そのままゴミ箱に捨てられます。余計な訴訟を回避するための賢明な選択です。日本では考えられないことですよね。逆に、写真を貼ってない履歴書はゴミ箱行きかも知れませんが…。
さて、雇用の場面における身障者の扱い方についても、恐らく日本人のみなさんは想像すらしないような非常に興味深いことがありますので、次回はその話をします。