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ドゴアルヘェンティーノ、初めて見る獣との闘い…
最悪の結果に…くそっ、と、ケンカがどうこうではなく、バーベシア症になるという結果にめちゃくちゃ腹が立ちました。
ある程度、バーベシア症を抑え込み、日常の生活はもとより、猪ファイトが出来るまでに回復させたい。
強い相手を探す事から、バーベシア症という最悪の病気からの回復に力を注がなくてはいけない事に、屈辱的な苛立ちと、取り返す事の出来ない健康なシンバの元気な身体を、何でこんな事になったんだ、と、後悔でしばらくは、本当に自分の感情をコントロールする事に苦労しました。
シンバの体調回復、食欲の回復、身体の張り、パワー、どれをとっても、元に近い状態に戻るまでには、一年以上の歳月を必要としました。
1年半ほどしてから、ようやく、山でも動ける迄に回復、
そんな時、神奈川県の酒匂川上流域に山入りトレーニングへ行きました。
そこで、タイミングよく、60㎏程の猪と遭遇、シンバが気配を感じ追った、という方が適切ですが、
早朝、4時半位ですから、まだ暗い中での出来事です。
ガサガサバタバタと始まり、急いで近付くと、咬み込んでいましたが、
やっぱり、バーベシアになる前とは、明らかに身体のパワー感が違います。元には、戻っていなかったんです。
闘争心は全く変わってませんが、時間が経つにつれ、疲れ方がひどい、
これじゃ、よくもって5分だなぁ、と、
ですが、人間は、諦めの悪い生き物です。
全盛期に近付ける様にと、貧血予防薬、鉄分補給、生肉と、ありとあらゆる出来る事をもう必死でやりました。
ですが、やらないよりはまし、やってもバーベシアは治せない、ほとんど気休めです。
それからというもの、激しい闘いや激しい運動はさせず、自由運動のみ、真夏以外は、体重をしっかり乗せ、常に体重55㎏をキープ、真夏のみ、50㎏前後にする、
闘いを止め、自由運動とたまの山入りトレーニング、そんな程度ならば、なんら不自由なくこなすシンバ、
ただ、山に入るとハンティングモードになるのでしょう!!
車の窓を開け、外気を入れる、そうすると、ケージの中で鼻を使いクンクンやり出すシンバ、獣の臭いを感じると、興奮しだす、
スタート地点につくと、こちらまでもが、緊張感と期待が交差する、
放つと、以前の様に、臭気しながら、時に顔を上げ、また走る、追跡行動をとる、
これならいける、そんな期待感が湧いてくる
獣と出会わない日は、バーベシアを忘れさせてくれる迄に回復してくれいる
この調子で、行ってくれ、 そう願いたい気持ちで一杯です。
ですが、闘うと、てきめんバーベシアの影響が出ます。
やはり、5分しかパワフルに闘えない、しかも、50㎏程の猪で…
何とか、猪の後ろ脚を私が取れるくらいに制御できていますが、
70、80㎏を制御していたパワフルさは、もう無い、くッそ、と、見る度に怒りが込み上げる
これが、シンバを連れて、山に入り、獣と出会う事が出来たたんびに、繰り返される、私の身勝手な葛藤です。
もう、闘わせない、もう、ゆっくり、運動が目的で山に入るだけにしよう、そう決めたやないか、なんで、闘わせる事ばかり考えるのか?
自問自答、何年この自問自答を繰り返したであろう…
私の中で、シンバは、もうただの犬ではなく、心の支えであり、闘神にも似た絶対的な存在になっていたんだろうと、思います。
ある方から誘われ、かなりデカい猪が捕れるかもしれない、見に来ないですかとなり、群馬県の某市に出掛けた時の事です。
話しによると、150㎏は越えてると思う、との事、
ほぉ~珍しいですね、そんなデカいの…
恐らく、辺りの付けている山の一角に寝床が有ると…
急いで、明朝、早くに着くように行きますよ、と、話し、久しぶりにシンバを連れていざ、群馬県某所へ…
日常生活は、なんら心配の無いシンバ、体重も、50㎏弱だったと記憶します。
闘わせるつもりは、ありません。あくまでも、魔除け的な存在としてお供です。
5時には到着、久しぶりです。元気でしたか?
と、雑談する事30分ほど、車で、10分程走ったところで、ここから100メートル程入った所に沢があり、沢伝いに下ると、大きな石のくぼ地に寝屋を作っている、と、知人。
わくわくドキドキです。
150を越えている、ヤバイね、なんて話しながら、ハウンドを入れる、
私、ここから入れたら、猪、気が付いて逃げるでしょ?
恐らく下ると思う、理由は?
上は、川に身体をはめれる場所が無いから、下るしかないという、
じゃどうしますか?
ハウンドが上から、私達は、このまま沢下に行って待ち伏せます。
車からシンバを下ろして、急いで、駆けながら道なき道を下ります。
シンバ、どこにそんな力が残っていたんだ?
と、びっくりするほどの力で進みます。
直ぐに沢の流れがある場所に到着、
なるほど、猪が身体を冷やすにはちょうど良い感じの沢になってます。
足首ほどの水かさと、1.5メートル程の幅、片方は山肌、片方は弦木が鬱蒼としています。
で、濡れない山肌側を歩いていると、うぉーう
ぉーと、ハウンドが激しく吼えたてる声が聞こえて来ます。
緊張に包まれ、気を付けて、と声書けながら歩きますが、シンバは、もう目の色が変わり、
過去に見た独特のオーラを放ちヤル気満々、こりゃ近いなぁ猪、
気を付けよう、と、互いに確認しながら、態勢整え耳を澄まして鳴き声や足音を聞く、
すると、うぉーうぉーのハウンド吼え声が上からじゃなく、右側から聞こえてきます。
その声、距離10メートル程、緊張感が張り積める中、道具を手にする
知人の、なんやあれーと大声が響く、どうした?
と、私、バキバキガサガサ、ウォーウォーけたたましく吼えまくる犬と異様な緊張感の中直ぐ近くに見えた獣は、猪ちゃうやないか!!
バッンと強烈な力でリードが放れる
あちゃー行っちゃった。(大汗)
白い身体が飛び掛かる、ゴロゴロともつれる
ヤバイよヤバイよあれ、
知人も、必死に叫び狙いますが、ヤバイヤバイ、ダメダメ、と私、
こっちはもう成り行き見るしかない、唖然呆然、
すると、黒いのが立ち上がったと思うと、直ぐ近くの木に上がる
足下の悪い場所、シンバも直ぐに木の下に陣取る、
私達は、上から見下ろす、獲物は、ちょうど私達の目線の高さにいる、
その距離僅か10メートルあるかないか、
これ飛び下りて来たらヤられるよこれ、なんて小パニック状態、
すると、シンバが今まで見た事の無い形相で、
うぉぉーと低い唸り声をあげながら、
斜面上に移動し威嚇をします。
ハウンド達も吼え捲っていましたが、シンバの唸りに、吼えが控え目になり、シンバを気にする様になる、それを見ていた知人、もう顔は真っ青です。
私も、どうなるのか想像が全くつきません。
シン、シン、と叫びますが、シンバの目を剥いた物凄い形相と威嚇は、収まりません。
樹上の獲物も微動だにせず、シンバの動向を見ています。
その睨み合い、結局5分以上続きましたが、最期は、犬を強引に引き上げます。
じわじわと下り、シンバのリードを拾い上げる様に持つ、そのタイミングに、獲物も下に慌てて下りて一瞬こちらに来る素振りを見せる
しかし、シンバの強烈な威嚇でUターン、山の中に消えて行きました。
お陰で私は、シンバに引きずられる事4、5メートル、
お前、そんな力残ってたのか?
知人も、バーベシアって本当ですか?
本当ですよ!
そうは見えない、熊よりも、シンバが怖かった。
うちの犬殺されると、本当に焦りました。
大丈夫ですよ、シンバ、そんかキチガい犬じゃないですよ!
安堵の笑いが二人に起きる…
知人、帰りの車の中、帰宅までのご飯中、ずっとシンバの話し、今まで熊を脅す犬なんか見た事無い、明らかにあの熊恐れていた。
木の上で、命乞いしているかの表情が見て取れた。と、まくし立てるように話す、
真っ黒の顔に表情なんてないでしょ?
と、私は半ば爆笑
しかし、知人は、大真面目に、シンバの物凄い形相と強烈な威嚇に、身体が震え、間違いなくシンバにハウンドが殺されると危機感を抱いたと言う、確かに、横目で、チラッとハウンドを見たのは分かりましたが、あれは、近付くなぁ、オレの獲物だ、の表れです。
いや、そうは言いますが、私からしたら何もかも殺しそうな勢いでした。
私も、あんな形相やあんな威嚇を見たのは初めてですよ!
いや、本当に怖かった。あんなシンバみたいな犬が野犬で山に出たら、月の輪熊どころじゃないですよ、と、
私も、内心、バーベシアを完全に忘れさせてくれる強烈なインパクトを与えてくれた姿に、
最高に嬉しく、最高に気持ち良い気分で、知人宅を後にしました。
帰る道中、あれっ、なんか忘れてないか?
運転で同行していた若い者に聞く?
オヤジさん、150㎏の猪がとか、言われてましたけど…
そうやんな (笑)
巨大猪目当てに行ったハズが、とんだ獣の登場に、かえって嬉しいハプニングと、今までにない、シンバの姿にエキサイティングな1日を過ごさせてくれました。
帰宅後、パソコンを開くと、知人からのmailが届いてました。
今日は、東京からわざわざ起こし下さりありがとうございました。
小生未だ興奮、恐怖?覚めやらぬ思いで、このmailを記しています。
「 正直、シンバの九州での猪とのファイトは、少々盛っている、だろうと失礼ながら思っていましたが、今日のシンバのファイトを見て、確信に変わりました。熊を見るやいきなり飛び掛かる、咬む、あれを見た瞬間にこの犬は化け物だ、と、その上、木に上げた後の凄まじいまでの威嚇とオーラ、あっぱれでした。
山に棲む生き物、未知の生き物までをも脅すかのような 凄み を持つ犬、凄いですねドゴアルヘェンティーノって言う犬は、その中でも、シンバは、最高です。ありがとうございました」
全文です。
我の愛犬をして、シンバの恐ろしいほどの凄みを初めて体験する、武者震いするほどの嬉しさと共に…
続く…