17歳と4ヶ月。腎不全と診断されてから、4年と半年―――何度も生死の境をかいくぐってきた我が老猫。
急に足腰が弱ったな、、、と思っていたのが、つい数日前。
食事も人の手からしか摂らなくなった。少しずつ食べては、吐いてしまう。
トイレや水飲みに立つのさえ、困難になる。
時に、哀しそうに鳴く。人を呼ぶのである。
我慢する子だったので、辛い時は言いなさい、と何度も聞かせていたからだろうか。
子猫の頃から人に常につきまとい、犬みたいな猫だった。
料理をする時など仕方がないので、大きな前ポケットのついたエプロンを着用し、そのポケットに彼を入れて、気遣いながら夕飯を作ったものだ。本気でおんぶ紐が必要なのでは、と思った程である。
昨日、頻繁に痙攣をするようになったので、病院へ連れて行った。
末期だと言われた。
緊急連絡先を聞かれる。
いつかはくるだろうと思っていた事実を、とうとう目の前に突きつけられた思いがした。
5Kg近くあった体重が2.9Kgになっていた。それを聞いたとき、不覚にも涙がこぼれた。
数日間の点滴の後の経過を見るらしいが、腎不全は元々もう治らない病気である。
飼い主としては、できる限り治療を受けさせるべきか、もう老齢なので、あんなに好きだった家で家族に見守られて、静かな余生を送るのが良いのかと、常に迷ってきた。
とりあえず、数日でも頑張って欲しい。経過を見てみたい。
手ぶらになった帰り、20分程かかる夜道を妹と家まで歩いた。
動物というのは、前を向いて先へ歩いていくことしか知らないのだと、改めて覚った。
どれだけ体が動かなくなっても、腕の中では喉を鳴らす。
拒絶反応を起こしていても、それでも食べようとする。
生きようとするその姿に、わたしは幾度弱い己を心の内で罵ったことだろう。
今は、その生命力に賭けるしかない。
どうか、少しでも元気になって欲しい。
彼の好きな場所で、最期を看取ってあげたいと思う。

