『俺、アヤワスカやりに行くよ』
町の喫茶店で、ボスニアンコーヒーを飲みながら、その時一緒にいた『コバさん』が唐突に言った。
『アヤワスカ』という言葉を初めて聞いた瞬間だった。
コバさんはさらに付け加えて、『アヤワスカ』を魔法の薬だと言った。
コバさんもある旅人から聞いた話らしく、その話を僕達(その時もう一人いたんです)にしてくれた。
コバさん
『すごいんだって!!俺が聞いた話だと、そいつ(アヤワスカを飲んだ人)、生まれてきた意味を知ったって言ってたぜ』
―生まれてきた意味?だとしたら、すごい薬だ―
僕は心の中でそう思いながら、コバさんの話を真剣に聞いた。
コバさん
『なんでも、南米のアマゾンにシャーマンがいて、そいつらがその『アヤワスカ』を飲ませてくれるらしい』
この時に、『アヤワスカ』は飲むモノだという事を知った。
コバさん
『とにかく、幻覚作用がかなり強いらしくて、中には天国を見た人もいるらしい。亀ちゃん、見たくねえ!?』
真剣に話すコバさんに、『そうですね~』と答えておきながら、
やや興味があるだけで、この時は行く気などさらさらなかった。
どうやら『アヤワスカ』は世界で最も強い覚醒剤(幻覚剤?)らしく、
アマゾンに住むシャーマンによって、調合され、薬となる。(元々アヤワスカはアマゾンに生えている植物の事を指す。)
その薬が齎す幻覚で、『天国』や『前世』、『未来』などが見えるらしい。(人によってまちまち)
気になるのは、『前世を見た』『生まれてきた意味を知った』という証言。
それらの証言を、果たして本当に幻という事で終わらせていいのだろうか。
いや、終わらせたくない。
実は現なのかもしれないし、予言であるかもしれない。
人の記憶の片隅にあるものが、引っ張りだされているだけ、という事もありうる。
人は前世の記憶を、持っているのか?
だとすれば、見てみたい――。
次第に、『アヤワスカ』への興味が強くなっていった。
―――そして現在。
僕はシャーマンが住むサンフランシスコ村にいる。
今、マテロ率いるシャーマン達の『アヤワスカ』の儀式を受けようとしていた。
儀式の場。
他の家と、少し造りが違う。
時刻は夜9時。
いよいよ儀式が始まる。
誰も口を開こうとしない。
そんな様子を旅亀は写真に収める。
自分でも不思議なくらい、緊張していない。
暫くして、一人のシャーマンが、僕達に『アヤワスカ』を回しはじめた。
まず初めにりょうくんが飲んだ。
こういう時一番初めに渡されると、少し戸惑う。りょうくんも戸惑っただろうか・・・。
次に、ぷにょさんが飲んだ。
一気にグイっと飲み干した。なんとも男らしい飲みっぷりだ。
そのまた次に、まいちゃんが飲んだ。
一口啜って、その後全て口の中に放り込んだ。なんだか不味そうな顔をしている。
―――そして。
シャーマンは僕の前にやってきた。
右手には『アヤワスカ』がたっぷり入った瓶を、左手にはそれをつぐお猪口を持っている。
シャーマンがそっとそれを差し出した。
心が落ち着いている。
迷いはない。
僕はグイっと『アヤワスカ』を飲んだ――。
つづく。
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