手を拱く(てをこまぬく、てをこまねく:手出しをせず、傍観すること) | そんなの日本語じゃない

手を拱く(てをこまぬく、てをこまねく:手出しをせず、傍観すること)

毎日のコラムから です。

もちろん、すべての施設や地域が手をこまぬいているわけではない。埼玉県行田市は今年6月、児童、高齢者、障害者への虐待を防ぐ条例を施行した。

もともとの意味は、腕組みです。それが転じて傍観している意味になりました。文章で読んだ場合には簡単に意味を推測できますが、私は、すらすらと"こまねく"(ましてや”こまぬく”)と話したり、書いたりする自信がありません。

ということで、いくつか用例をあたって見ましょう。よくある慣用句なので、何度か読み書きすれば、使いこなせるようになるはずです。

他の国々はこの再処理-増殖炉技術の実用化に 手をこまねいています。

(禁煙問題に対し)このまま手をこまねいていては、30年後には年間の死者は1000万人にも膨れ上がると言われている そうです。

(虐待に関して)手をこまねいているうちに、子どもが命を落としてしまうという事件も最近は増えている そうです。

傍観している事実に対しては、必ずしも非難の気持ちが含まれているとは限りません。つまり、手を出す能力があり、かつ出すべきなのに、傍観している、という意味だけではなく、手が出せないという意味にも使われているようです。ビジュアルな表現ですので、描写系の動詞との相性が優れています。

適当に例文を作ってみましょう。

- 無情にも空気が抜けていくタイヤを目の当たりしにして、僕は手をこまねくしかなかった。
- これだけの少子化問題に直面しても、政府は手をこまねいているだけだ。

単純に傍観といった方が効果的なんでしょうが、多少文の見た目をやわらげたいときに便利な表現です。