ナガミヒナゲシという花なのだって。

透き通るようなオレンジの花で、今や日本全国に咲き誇っている移入種であるという。道端や空き地で、見かけている方も多いと思う。

 もう、お花の盛りは終わっているけれど、まだ名残がある。

 

 ここ数日、夫のことで、病院側から動揺するようなことを何度も言われている。それは、転院について、である。

 急性期の病院なので仕方がないのだろうけれど、「もって、あと1か月」と医師に言われてちょうど1か月たった。

 夫は、まだ生きて、差し入れのお刺身も、ウナギの蒲焼きも、モスのフィッシュバーガーも、美味しそうに(少しだけがんばって)食べている。

 

 でも、もうこれ以上、この病院には居られないのだそうだ。「今の日本の医療システムでは」と、何度も繰り返された。それを言わざるを得ない、お医者さんも看護師さんも、つらそうで、かなしくなった。

 

 慢性期の病院か、有料老人ホームのような施設か。(ホスピスは、夫は今は入れない。なぜなら、がん治療の飲み薬を続行中なので。)選択の決断を毎日のように促され続けている。

 これが、日本の、終末期がん患者の苦しみなのだと、思い知った。

 

 夫は、覚悟を決めて「この病院で終わりたい」と言い切ったけれど、その願いはかなわないかもしれない。とてもとても悲しい。

 

 同じように、悲しんだり動揺したりする患者さんが、きっとたくさんいるんだろうな。そして、今後、どんどんその数や質は問題になるんだろうと思ったりもした。

 

 高齢化社会に伴い、病院の病床数はとても足りなくなっているとリアルに感じている。これからの、大事な課題だと思う。