卵などに含まれる必須栄養素のコリンが乳がんの発症率を下げる、と
米ノースカロライナ大学のスティーブン・H・ゼイセル博士らが発表した。
博士らは、3000人以上の成人女性を対象に、
コリン摂取量と乳がん発症との関連を調べた。
最も多く摂取したグループ(1日455ミリグラム以上)では最も少ないグループに比べ、
乳がん発症率が24%低かった。
コリンは、人の細胞が正常に機能するのに必要な栄養素。
卵のほかレバーや大豆、小麦胚芽、カリフラワーなどに多く含まれる。
博士は「米国では、コリンの推奨摂取量を満たしている人は10%ほどしかいない。
女性にとって大切な栄養素なので、もっと摂って欲しい」と話している。
コリンはビタミンと同じような作用をするビタミン様作用物質と言われている。
その他、CQ10やイノシトールなどもビタミン様作用物質である。
コリンは、細胞膜を構成するレシチンの材料となり、
血管へのコレステロール沈着を防ぎ、肝臓に脂肪が溜まるのを阻止して、
肝硬変や動脈硬化などを防ぐ。
また脳の記憶形成を助ける作用もあり、記憶力の強化につながる。
栄養素は相互的に作用するため、独断的に多く摂取しても効果が出にくい。
コリンがいいといって、すぐに飛びつくのではなく、毎日の食事を見直し、
食べ過ぎないこと、野菜、果物を多く摂り、動物性たんぱく質を抑えるだけで
体はずいぶん変わってくるように思う。
いくらバランスよくとっていても、アルコールの飲みすぎや、甘いものの摂りすぎ、
薬を長く飲むことでビタミンやミネラルが不足してくる。
個人によって弱いところは違う。
自分の体の癖やサインを見落とさず、
楽しく食べて、その食べたものが気となり血となっていってほしい。
同じものを食べても、食べているときの気持ちの持ちようで栄養になる率が
変わってくる。
怒りながら食べると、消化に2倍の時間がかかり、
味わって食べず、ただ流し込んでいるだけだと、栄養も流れていく。
効率よく栄養を摂るのは、実は、大勢で食卓を囲み、日常会話をする。
そんな単純なことが原点にあるのかもしれない。