さて、突然ですが、
たとえばですよ、たとえば君が1989年のドイツに住む20代の男性だとして、
教師をしてた母親が倒れて昏睡状態のまま、大事件発生!
ベルリンの壁崩壊!東西ドイツ統一!共産主義国だったこの国も資本主義国家に!
それより問題はショックを与えると危険な母親がドイツ統一を知らないままに意識が回復して
さあどうしよう?
厳格で優秀な共産党員だった母親に祖国、東ドイツの消滅をどうやって知らせる?
もういっこたとえば、
きみは1940年代前半の第2次世界大戦下のイタリアに住む20代のユダヤ人で
君の人を笑わせる才能と行動力はまわりの人を幸せにしてて
ついにイタリア人の賢くて美しい妻をめとり
2人の間には今、7歳になるおふろが苦手でわんぱくで戦車が大好きなかわいい息子がいる。
ある日ファシスト政権下の軍人たちがやってきて、父と息子はユダヤ人のため
強制収容所に送られてしまう。それを見たイタリア人の妻も志願して同じく強制収容所に入る。
ところで父であるきみはなにもわかってない息子に問われて、何と答えるだろう?
「ねえパパ、ぼくたちどこにいくの?」
ドイツでは息子が母親に真実を告げない決心をする。一日中ベットで生活する母親のため
旧東ドイツの食品瓶を求めてゴミ捨て場をさがし、映画作家志望の友人に協力してもらい
共産圏のテレビ番組をつくり、近所のこどもたちにバイト代を払って
母親のまえで共産主義礼賛の歌を歌わせる。
絶対に母親にばれないように、東ドイツは続いているというウソをつき続ける。
イタリアでは父親が息子にこれは父さんも子供の頃やったゲームで、
先に千点とったら1等賞で、賞品はほんものの戦車、
あの軍人たちは鬼ごっこっていうかかくれんぼのオニさんだから
あいつらに見つからないようにこのベッドのなかに隠れてなさい。
かわりにパパが昼間あのオニさんと遊んで点数稼いでくるよ、任せとけ!
といって強制収容所での生活をゲームだと言い張る。
このウソを息子に信じさせるために父親はあらゆる機知と行動力を使う。
鉄腕アトムはロボットのくせに?ウソをつく。そしてその理由をきかれてこう答える。
「(その人を)傷つけないために」
でもってぼくらは子供のころウソつきは泥棒のはじまりはじまりって教わって、
ウソをつくのは悪いコト、って真理をしってるはずなのに
このドイツ人とイタリア人のウソを責める気にはならない。
ドイツ人のほうは『グッバイ、レーニン!』
イタリア人のほうは『ライフ イズ ビューティフル』
っていう映画なんだけど、映画も小説も神話もみんなよく考えたら
ドでかいホラっていうかウソで、よそのひとの言葉をそのまま受け売りしちゃったら
恋愛も国家も虚構だっていうんだけど、そんなのホントウ?って話だよね。
でもってもしそうなら
例えば自分のこどもにはすっごく素敵なウソをついてあげたいなあと思うのでした。
あ、映画のほうは、ドイツ人の母親もイタリア人の息子も相手のウソを見破ってて、
それでも黙ってそのウソにノってあげてました。 おしまい。
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