東京中央線沿線を舞台に紡がれる8つの物語の主人公はすべて女性でなにかを待ってるみたいです。
コドモやヤルキやゴールやワカレを。
角田光代さんの小説は基本的に物語の舞台は現実の日本で、 主人公が幻想的な世界に足を踏み入れたり、超人的な活躍をするわけではありません。
登場人物みんなが現実にいそうだしその物語に出てくる固有名詞も現実に存在するものばかりです。
で、ひねくれもののぼくはそんなどこにでもいそうな人たちの話なんか読みたくないね、とうそぶいていたのですが、 ある日文芸誌ってやつを立ち読みしててきづいたのです。
文芸誌ってのは「群像」とか「文藝」とかいろいろ出てますが、 10から20くらいの数の作家の短編小説がまとめて読めてお得な気分になったりもするんですが、 お年を召した大作家から十代二十代の新人作家まで載ってて、正直当たりはずれがデカすぎて買う気になれません。で、立ち読み。
特定の好きな作家以外だとだいたい2,3ページ読んでおもしろそうかどうかなんとなく判断するんですが、その時もそうでした。
一見新人の作家にありがちな(ってなんかエラそうですね、すんません) 自分さがしとか恋愛ものかなあと、判断しかけて読むのやめようとおもったんです。角田光代さんも。
でも他の凡百の新人の作家とちがって(ってどうしてもエラそうだなあ・・。)読ませるんですよこれが!
「子ども待ちをはじめて二カ月になる。子ども待ちというのは、文字どおり生まれてくる子どもを待つことで、存外平穏で、日常的で、暇だ。何せ子どもはまだ腹のなかにいないのだから。それで私は、しなくてもいいことをしている。夫の恋人を、つけまわしてるのだ。」(コドモマチ)
この本の最初の短編「コドモマチ」の冒頭部分がこれ。
もう?の連続。子ども待ちってのは子づくりのことかな?妊婦さんかな?って思ってると腹のなかにいないっていうし子づくりしようってことかなと思うと夫は浮気してるみたいだし、妻はその夫の恋人を尾行してるの?つけまわす?浮気してる夫との子づくりじゃないの?そもそも二カ月ってその始まりの日にはなんかあったの? とかとか。
この数行で主人公がおそらく女性でおそらく結婚しててついでにお腹とか母体とか赤ちゃんとか夫のおんなとかそういう言葉を選ばない人なんだってことも伝わる。
でなんかテレビの2時間ドラマみたいな展開を予想する、まあメロドラマだろうってぼくの平凡な予想を軽く裏切って話は予想外のほう予想外のほうへ転がっていきます。
「殺してしまいたい、という気持ちと、死んでくれないか、という気分は似ているようでまるで違う。」(ワカレマチ)
いやいや、今予想したような話じゃないってば! ではまた。![]()
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