SSRO IVROの骨格的変化比較・関節突起位置と顎関節変化

 

 

こんにちは。パク・ジョンチョルです。

口腔顎顔面外科 専門医 パク・ジョンチョル

 

本日は

「代表的な下顎矯正術IVROとSSROの術法と経過の骨格変化」についてお見せしたいと思います。

 

変化をお見せする前に、それぞれの術法を説明致します。

 

IVROの術法です

 

IVRO手術は下顎枝に垂直骨切断をします。

 

垂直下顎枝骨切断 (Vertical Ramus osteotomy)と

 

「下顎枝上行枝:RAMUS」

 

口の中という意味のIntraoralのIを付けてIVROと言います。術後の形です。

 

抜粋-口腔顎顔面外科学 テキスト 3版

別途固定をせず、2週間口を縛って物理治療をすると

関節突起は生理的平行位に到達すると書かれています。

 

 

口腔外科のテキストにあるIVROの模式図です。

 

この方法で手術し金属板で固定せず、2週間口の上下を結んで

 

物理的な治療をすると関節突起が生理的平行位に至るとテキストには書かれています

 

SSROの術法です。下顎枝 矢状分割骨切断術、

 

言葉通り矢状面に平行するよう骨を切断する方法です。

 

側面より上面からの方が分かりやすいですね。

 

同じく、テキストにあるSSROの術法です

 

関節突起の位置は可能な限り、術前と同じ位置で

 

維持するのが重要と書かれています。

 

抜粋-口腔顎顔面外科学 テキスト 3版

この術式を利用する場合関節突起の位置は可能な限り手術の前と同じ位置に維持するのが重要と書かれています。

でしたら疑問点ができますね?VROでは元の関節突起位置と違う生理的平行位に誘導するけど

SSROでは可能な限り術前と同一なところに位置させようとするとしたら果たして正しい下顎の関節突起の位置は何なのかと。

なので、本日の資料はこの二つの術式の術語1年までの関節突起位置を比較してみます。

 

 

IVROは本来の関節突起の位置と違う生理的平行位に誘導

 

SSROは可能な限り本来の位置に関節突起が位置するよう誘導

 

適切な下顎の関節突起の位置はとこか?

 

なので本日は二つの術後、

 

1年までの関節突起の位置を比較してみます

 

本日の内容は私が執刀した二つの術法の

 

経過の差を調べることです。

 

IVRO/SSROの中でどっちが良いとか

 

ではないのです

 

私もケースによって方法を選びますが、

 

手術後、変化に差がある部分を

 

計画を立てる時や、経過観察時に

 

反映しているだけです

 

私は普段SSROを好んでいますが、

 

この場合にはIVROを使用します

 

 「神経管」                 「親知らず」

SSRO IVRO骨格的変化比較、関節突起の位置顎関節変化

 

 

IVROの適用の第一ケースです。

 

下歯槽神経管または埋もれた親知らずが皮質骨とくっついている場合です。

 

SSROでしたら赤い線のように骨を切らなきゃいけませんが、

 

神経が露出される可能性があります。

 

IVROの適用の第二のケースです。

 

SSROを施行した骨格            VROを施行した骨格

SSRO IVRO骨格的変化比較、関節突起の位置顎関節変化

 

 

すでに輪郭手術などで、皮質骨が薄くなっている場合、IVROを施行しています。

 

ご覧の通りに下顎枝の皮質骨が削除され、曲線がなくなった時はSSROはやり難くいですね。

 

これからIVRO術後、骨格変化を本格的にお見せします。

 

この患者様はエラ削りで黄色部分の皮質骨が大分削除されてIVROで手術したケースです。

SSRO IVRO骨格的変化比較、関節突起の位置顎関節変化

 

変化模様を見てみます。関節突起が前下方向に移動しています。

 

下からみた姿でも関節突起が前方に移動しているのが分かります。

 

ご覧のようにIVROを行うと元の位置より前方下に

 

関節突起が移動するようになります。

SSRO IVRO骨格的変化比較、関節突起の位置顎関節変化

SSRO IVRO骨格的変化比較、関節突起の位置顎関節変化

 

 

術後2日から9週間目までの経過を見てみます。

 

まずは関節突起を見ましょう。

黄色で表示して置きましたがご覧のように反時計回りに回転しています。

 

 

これからは歯と繋がった部分を調べます。

 

赤の縁で書いたのが歯と繋がった部位ですが

 

この部分は黄色で表示された関節突起と繋がった部分と

反対側に回転するのがみえます。

 

こんな骨格の変化で結果的に顎先は術直後より後方に位置することになりました。

「上顎中切歯」

「上顎中切歯」

SSRO IVRO骨格的変化比較、関節突起の位置顎関節変化

 

この角度から見れば下顎が術直後に比べ2か月で後方に移動したのが明確に分かります。

 

上顎に含まれた上の歯も後方に移動したのが見えます。

 

結果、両顎全部が手術直後より後方に移動しました。

 

他のIVRO患者様の骨格変化様子が動画にもっとありますので視聴をお願い致します。

 

これからはSSRO手術患者についてお見せします。

SSRO IVRO骨格的変化比較、関節突起の位置顎関節変化

 

SSRO手術患者の術直後の関節突起の位置です。

 

SSRO IVRO骨格的変化比較、関節突起の位置顎関節変化

 

IVROのように関節突起が下方に移動しますが、その程度が少ないです。

 

術後3日から術後5週間目の間、関節突起が元に戻り

 

計画より長さが縮まるのが見えます。

 

横から見た時のVROのような回転はSSROでは観察されません。

SSRO IVRO骨格的変化比較、関節突起の位置顎関節変化

 

 

術後3日、術後1年です。

 

 

金属板の位置を見ると手術前後の位置があまり変わってないのが確認できます。

 

それに比べ、VRO患者様でも明確に下顎が後上方回転されたのを見ました。

 

このように手術直後と経過観察比較時に

 

SSROの変化が少ない理由は関節突起が術前の位置より下方に移動する量が少ないからです。

 

つまりSSROでも手術で関節突起がの位置が変わったら経過観察時の位置も

 

変化される可能性が高いという事になります。

 

 

「まとめ」

 

手術直後の結果の持続性という面で

 

SSROIVROどちらも術前後、関節突起の位置が変わらない方が有利。

 

SSROでも術直後に下顎の位置が元より離れていたら、術後一か月の間に計画の位置より離れる可能性がある、

IVROの場合生理的平行位を求める過程で本来と違う位置で骨格の安定性を取ることになる。

 

 

なので私は個人に合わせた金属板で関節突起の中心を元の位置に近くします。

 

ここで関節突起の「位置」と言わない理由は関節突起が3次元的に回転できるからです。

 

 

 

顎矯正手術の完成度を高めるための3つの要件

 

手術計画樹立の適切性 - 機能的、美的に計画を樹立する

手術の正確性 ‐ 計画された数値によるbone segmentの移動

手術結果の持続性 ‐ 計画された移動が実際術後にも継続して維持されるか

 

この3つをより発展させるため、努力致します。

次回もまたお役に立てる資料で手術をご紹介致します。