ジェフ・バクスターはスゴイやつ | WONDERFUL ROCK

ジェフ・バクスターはスゴイやつ

text by kazgadd

先日、紫さんのところで、ジェフ・バクスターの話がちょっと出てきたこともあり、久しぶりに彼のギターが聴きたくなった。

Jeff "Skunk" Baxter ─── 1948年12月生まれだから、今年の暮れで62歳である。

スティ-リー・ダンのメンバーとしてキャリアをスタートさせたのはご存知の通りですが、《Katy Lied》の頃から、バンドがだんだん「ロックっぽくなくなってきたので」ドゥービーに移ったらしい。

ところが、運命とは皮肉なもので、元の相棒のマイケル・マクドナルドを引っ張り込んだら、今度は彼がドゥービーをどんどん洗練された音に仕立てていってしまった。そこでまた脱退。その後はセッション・ギタリストとして活躍する傍ら、ヴェンチャーズのプロデュースなんかも始めてしまう。

しかし、彼のキャリアで注目すべきは、全く別のフィールドにもある。

独学で軍事技術や大量破壊兵器の専門知識を学び、軍事アナリストとしての活動も始めたのだ。インターネットで調べてみると、彼の「肩書」や「実績」を実にたくさん見つけることができる。

「2001年・アメリカ国防総省の軍事顧問に就任」
「2005年・NASAの有人探査部門の諮問委員に就任」
「ポトマック戦略研究所理事」
「弾道弾ミサイル市民顧問団会長」
「下院議員カーティス・ウェルドン顧問」
「下院議員ダナ・ローラベイカー顧問」
「ローレンス・リヴモア国立研究所レーザーに関する顧問団に参加」
「マニトバ政治科学大学で、『地域紛争とミサイル防衛』について講義」
「共和党員」

で、最後に「スティーリー・ダン及びドゥービー・ブラザーズの元メンバーで世界的なギタリスト」(笑)

彼のプレイでやはり最初にガツンと来たのは、スティーリー・ダンの《Pretzel Logic》に収められた〈Rikki Don't Lose That Number〉。間奏とは、わずか数十秒に「ありったけの創造力」と「テクニック」を詰め込むわけで、まさしくギタリストの腕の見せ所だろう。太い弦を感じさせる音とコードをバラした独特のフレージングが素晴らしい。特別早いフレーズを弾くわけではないのだが、なんともスピード感のあるソロである。

♪ Rikki Don't Lose That Number を聴く


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ドゥービー時代で印象に残っているのは、《Takin' It To The Streets》に収められたパット・シモンズのナンバー〈8th Avenue Shuffle〉での間奏。ここでも曲調を一変させるジェフ・バクのギターが炸裂する。〈リキの電話番号〉同様に、うねるようなコード・カッティングが見事なプレイです。

♪ 8th Avenue Shuffle を聴く


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もし、お時間があれば〈Takin' It To The Streets〉でのプレイもご覧ください。





ちなみに "skunk" とは、もちろんあのスカンクであるが、転じて「悪いやつ」「嫌なやつ」という意味がある。さらに意味が転じて「すごいやつ」という意味で使われているのだろうと容易に想像がつく。日本語でも「あいつ、まじ、やばいっす」って、賞賛の意味で使ったりするじゃないですか(笑)。