めかくしジュークボックス〈41〉答えあわせ
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text by Kaorak
ジャケットだけ見たら、自分には関係のない音楽だと思われるかもしれない。
アメリカン・インディアンの衣装を身にまとった5人のアフリンカ・アメリカン。彼らはニューオーリンズのマルディ・グラ・インディアンのトライブ(部族)で、その名をワイルド・チャパトゥーラスという。
いかん、こんな紹介の仕方では、ますます遠ざかる人が増えそうだ(笑)
では、これがネヴィル・ブラザース結成のきっかけとなったアルバムだと言ったらどうだろう。アート、チャールズ、アーロン、シリル、4人のネヴィルが揃って演奏した初めてのアルバム。しかも、リズムセクションは全盛期のミーターズ。
さあ、どうだ、持ってけドロボー ! ってことになりませんか(笑)
1975年、ネヴィルズの母・アメリアが不慮の事故で亡くなったのを契機に、バラバラになっていた兄弟を結束させるべく、レコーディングの話を持ちかけたのが叔父のジョージ・ランドリーで、この人こそビッグ・チーフ・ジョリー。すなわちワイルド・チャパートゥラスの族長である。
1976年にリリースされたこのアルバムには、だからネヴィル一族の歴史も、マルディ・グラ・インディアンを生んだニューオーリンズという街の歴史も詰まっていて、部外者にはうかがい知れない重みもあるのだがそこはそれ。
収録されている曲は、もともとがマルディ・グラのカーニバルを祝うための音楽だから、楽しくないわけがない。物見遊山の観光客気分で聞いたって、思わず腰が動いてしまうというものである。
パーカッションを打ち鳴らしながらコール&レスポンスをくり返していくマルディ・グラ・インディアンの伝統的なスタイルを織り込んではいるが、郷土芸能色はそれほど強くない。たとえば、出題で聞いていただいた〈Hey Pocky A-Way〉はミーターズのヒットで有名だが、こちらのリメイクのほうが現代的というかPOPですらある。
というわけで、論より証拠。3曲ばかり聞いていただきましょう。
[1]はのちにネヴィル・ブラザースの重要なレパートリーになるが、これが初演。[2]はニューオーリンズとカリブ諸島のつながりを思い起こさせてくれるレゲエ風味。チャントからニューオーリンズR&Bへと流れこんでいく[3]のゆったりとしたリズムもいいですよ。
1. Brother John ♪
2. Meet de Boys on the Battlefront ♪
3. Here Dey Come
4. Hey Pocky A-Way
5. Indian Red ♪
6. Big Chief Got a Golden Crown
7. Hey Mama
8. Hey Hey (Indians Comin')
Vocals:
Big Chief Jolly - George Landry
Spy Boy - Amos Landry,
Flag Boy - Carl Christmas
Trail Chief - Booker Washington
Second Chief - Norman Bell
Musicians:
Arthur Neville - keyboards
Leo Nocentelli - guitar
George Porter, Jr. - bass
Joseph Modeliste - drums
Cyril Neville - congos
Teddy Royal - guitar
Aaron Neville - piano
Charles Neville - percussion