ライターの有留です。
いつもお世話になっております。
〆切たちが1つ1つ片付いてゆき、
今はエアポケットのような状態です。
昨年の12月末から走り続けてきたので
ようやく一息つけます。
時間が空いたら読もうと思っていた積読本の山を
崩していくのが今の楽しみ。
その中の一冊が
木皿泉さんの
です。
木皿泉さんは
夫・和泉務さんと、妻・妻鹿年季子さんの
ご夫婦で共同執筆している脚本家。
『すいか』『野ブタ。をプロデュース』『セクシーボイス アンド ロボ』
『Q10』『富士ファミリー』といった大ヒットドラマや
『昨夜のカレー、明日のパン』、『二度寝で番茶』『木皿食堂』
などの著書でも有名です。
私は『二度寝で番茶』を読んでから
木皿さんのエッセイにはまりました。
そこには「大福」さん(夫)と「かっぱ」さん(妻)の会話が
シナリオみたいに綴られていました。
答えが出ることもあるし、出ないこともある。
生きるってそうだよな。
勝ち組とか負け組とか言うけれど、
自らを「引き分け組」という大福さんの言葉に
深く頷いたものでした。
かっぱ 引き分け組って、何ですか、それ。
大 福 考えてみれば、長い人生、勝ったり負けたりしているわけで、トータルで考えてみたら引き分けになるんじゃないかなぁと思うわけです。
(『二度寝で番茶』木皿泉(双葉社)
『二度寝で番茶』から8年後に出版された『お布団はタイムマシーン』。
妻が新聞や雑誌に書いたエッセイがまとめられています。
車椅子の夫との愛すべき生活。
子どものころの思い出。
好きな食べ物。
シナリオライターになった経緯。
女友だちとの関係。
許しがたいこと。
老親といつか空っぽのなる実家。
ひっそりと現れる奇跡。
彼女のエッセイを読むと、
私たちの日常は、なんて非効率なんだろうと
改めて思います。
そしてその非効率なことにこそ
私は安らぎを得ているのだということも。
人は、きらきらしたものでできている。誰も知らない、そういうものを抱えて生きてるのだと思う。
(『お布団はタイムマシーン』木皿泉(双葉社)