ライターの有留です。
いつもお世話になっております。
レオナルド×ミケランジェロ展
2017年6月17日~9月24日
三菱一号館美術館
レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ・ブオナローティ。
それぞれの素描を比較しながら、ふたりの天才の作品に対するこだわりや着想、制作過程を追う企画。
レオナルドとミケランジェロは、年齢差が20歳以上もありましたが、お互いを明らかにライバル視していました。
作風も、対照的。
レオナルドの作品が静ならミケランジェロの作品は動、
ミケランジェロの作品が肉体的なら、レオナルドの作品が知性的というように。
君の人物像のすべての筋肉を明瞭に見せようとするな…… もしそれを守らないなら、君は人物像でなく、クルミの入った袋を模写したようになるだろう。―レオナルド・ダ・ヴィンチ
足か手、あるいは首といった部分だけでもうまく描く方法を知っている人間なら、この世の被造物を全て描くことができるというのが、私の意見である。―ミケランジェロ・ブオナローティ
彫塑についても、塑造派のレオナルドと彫刻派のミケランジェロと、対立していました。
しかし、素描に関しては、二人の意見は完全に一致しています。
画家は、まず優れた師匠の手になる素描を模写することに習熟しなければならない。―レオナルド・ダ・ヴィンチ
アントニオ、素描しなさい。素描しなさい、アントニオ。素描しなさい。時間を無駄にしないで。―ミケランジェロ・ブオナローティ
素描し続けることが、芸術家になる唯一の道だと説いているのです。
素描―日々、トレーニングし続けるもの。
アスリートにとっての素描は、ランニングだったり、キャッチボールだったりするのかもしれません。
ダンサーにとっての素描はバーレッスンかもしれないし、音楽家にとっての素描は練習曲でしょうか。
どんな仕事であれ、プロフェッショナルでいつづけるためには、それぞれの素描があるはずです。
ライターにも、ライターがやるべき素描が。
本を読むことかもしれない、日々書き続けることかもしれない。
とにかく、毎日何かを積み重ねることで、ライターとして良い仕事をしていけるのだと、ふたりの天才の素描を観ながら思いました。
習熟するって、そういうこと。積み重ねる先にしかない。
この展覧会では、レオナルドとミケランジェロの手紙やノートも展示されています。
私は今回初めてミケランジェロの手紙を見て、その文字のち密さに驚きました。
タイプライターで打ったみたいな、大きさも形もピシッと揃った文字でした。
作風はダイナミックだけど、、繊細で優雅さを持った人だったんですね。
そんな新たな発見もあり、楽しい美術展でした。