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"HW not C”のススメ 4

ここまで「恒常性バイアスは人間が生きていくうえで必要だが、過度に作用すると困ったことになる」というお話をしてきました。

恒常性バイアスという用語が人々の耳目になじむようになったのは、2010年3月の東日本大震災で被災した方々の行動パターンを解説するときにたびたび用いられたことが、ひとつのきっかけになったといえるでしょう。

「警報が出たようだけど、とりあえず自宅で様子をみておこう」とか「津波が来ても大したことはないだろう」などと思って避難行動が遅れてしまった、などがその代表例です。

「起きて欲しくないことは起こらない」や、「たとえ起きたとしても大したことにはならないだろう」と思いたい恒常性バイアス。古くは70年以上も前、太平洋戦争当時の日本の指導者たちの多くが陥り、軍や政府が戦争の全体像を正確に把握し、以後の展開を冷静に予測できなかったが故に、結果として敗戦へと突き進んでいった原因のひとつとして、過度の恒常性バイアスを失敗の本質する諸説が展開されてもいます。
(もちろん大局的な視座から、戦争の早期終結を主張した人々もいましたが、残念ながら歴史の大きなうねりの中では、流れを変えるまでには至りませんでした)

これらはいずれも、「Wh」から考えはじめたために、できるだけ安易な方法、変化を好まない方針を採ろうとして、結果として悲劇的な結末を招いてしまった手歴史的な例といえます。
 

大小の選択が連続する毎日

さて話を元に戻すと「not C」、言いかえれば「可否を考えるにあたって、たとえ結果として否定的な答えにたどり着くとしても“あらゆる可能性”について検証を怠ってはならない」ということです。つまり、あまりにも早い段階で否定的な結論に到達するということは、その時点で思考停止に陥ってしまうことを意味しているということです。

本セミナーの冒頭でお伝えした、まずHowよりはじめよう!、そしてnot C、つまり私には無理と考えないクセをつけることで、少々のことにはめげない人」なることが出来るのです。

また、この考え方をしていると、日常生活でも仕事の上でも困難に直面した場合でも、「もうダメだ」とは考えずに、何とか解決して前に進もう!と考えられるようになります。つまりあなたはあきらめない人になることが出来ます。そうすると、日常ならあなたを取り巻く人々、仕事なら同僚や顧客の信頼を勝ち取ることにもなりますし、結果としてあなたの評価も上がってくるでしょう。

人生は選択の連続であると言われます。人は誰でも、道義的な責任だけでなく、経済的な責任も感じながら日々過ごしています。主婦/主夫であれば、日々の家計は常に気になることで、お財布の中身と今晩のおかずのやりくりは日常茶飯事でしょう。またビジネスパーソンであれば、担当業務の進捗に対する判断や、最悪の場合は中止・撤退を決断しなければならない事態に直面するかもしれません。
 
たとえそのようなときであっても、「not C」を自分に言いきかせ、「まずHowより始め」て「Wを徹底的に検討」して出した結論であれば、周囲の人々は、あなたの言葉に真剣に耳を傾けて、貴重なアドバイスをくれたり、あなたの意見に対して賛意を表明してくれることでしょう。
なぜならその意見は、たとえ同じ結論であったとしても、さまざまな可能性を考え抜いた結果たどり着いた純度の高い結晶のような意見であり、まず中止ありきの安易な決断ではないからです。

考え方のクセは人それぞれですが、ぜひ「HW not C」のススメを生活の中に活かして、前向きな日々を過ごしてください。

(1701003)