今日の映画は、かなり古い映画でなんと初公開が1942年でなんと74年前です。古い映画がすべていいとは思いません。ただ、この映画は今日ある映画の礎のひとつを築いたものであることに誰も異論はないと思います
この映画を初めて観たのは、東京下町の名画座で、その後テレビで1度、レンタルで数度、ついにDVDも購入しましたから生涯見続けるんでしょうねえ(笑)
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「カサブランカ」
1942年/アメリカ(102分)
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親ドイツのヴィシー政権の支配下にあったフランス領モロッコのカサブランカを舞台にした、ハンフリー・ボガートとイングリット・バーグマンとのラブロマンス映画!
<監督>
マイケル・カーティス
エロール・フリンの「シンドバッドの冒険」をはじめ、数々の映画を監督してますが、やはりビング・クロスビーとダニー・ケイの「ホワイト・クリスマス」ですね!個人的には、クリスマス特集でも紹介した「俺たちは天使じゃない」が好きです
<キャスト>
今さらでしょうから、出演作品などの詳細は抜きにして主な出演者のみ記載します
ハンフリー・ボガート/リック
イングリット・バーグマン/イルザ
ポール・ヘンリード/ラズロ(イルザの夫)
クロード・レインズ/警察署長
コンラート・ファイト/シュトラッサー少佐(ドイツ)
ドリー・ウィルソン/サム(ピアノ弾き)
シドニー・グリーンストリート/フェラーリ
マデリーン・ルボー/イボンヌ(リックに振られる女性)
映画史上、最高のラブロマンス映画として有名です!
それは、単なるラブロマンス映画にとどまらず、オーソン・ウェルズの社会派映画「市民ケーン」、ヒッチコックのサスペンス映画「めまい」と並んで映画史上三大傑作映画とも言われています。個人的には「第三の男」も加えてもらいたいですね
ボギー(ボガート)のカッコよさを観る映画です!
戦時中に作られたため、プロパガンダ的要素もありますが、この時期に中立性や客観性を求めるのは厳しかったでしょうから、素直に優れた恋愛映画、娯楽映画として楽しんでください
この映画は、劇的に面白い映画というわけではありません。熱くドラマチックな恋愛映画を見慣れた人には物足りなさを感じるかもしれません。それでも70年以上前のひとりの男の生き様の映画であり、男の美学の映画でもあります!
この映画ほどの名作になると、内容を説明したりするのは野暮な話でしょうが、まだ観たこともない人や、昔観て忘れたという人のために少しだけ紹介します。
スターが手の届かないスターだった頃、大スターの二人だったから出来た映画です!この映画は、単にラブ・ロマンス映画というより、男と女の愛を通して戦争という極限の中で人はどのように生きるべきかそんな人間的ドラマでもあります!
初めて登場するボギーのシーンがかっこイイ!
いきなりアップでなく、手先を映しその手がタバコをとって口にくわえるとハンフリー・ボガートがうつります。タバコの吸い方、持ち方がサマになってますね
公開時の年齢が
ハンフリー・ボガード 43才
イングリッド・バーグマン 27才
ポール・ヘンリード 37才
ヒロインのイルザ(バーグマン)は、リック(ボガート)とラズロ(ヘンリード)のどちらと結ばれるか、撮影直前になっても決まらず二通りのラストシーンを撮影したと言われています。この映画以外の結末にも興味はなくもないですが・・あれでよかったですよねえ
時代が変われば、考え方や評価も違ってくるのは仕方ありませんが、自分の中では決して褪せることのない映画のひとつです!
「昨日はどこにいたの?」
「そんな昔のことは覚えていない」
「今夜会ってくれる?」
「そんな先のことはわからない」
こんなキザなセリフはとても言えませんが、ボギーが言うとサマになります(笑)この時、振られるきれいな女性はマデリーン・ルボーという女優さんで、ブリジット・バルドーの「殿方ご免遊ばせ」にも出ていたそうです
「君の瞳に乾杯」
Here's looking at you, kid.
又は Cheers! Looking at you, kids.
直訳すると「君を見つめることに乾杯、カワイコちゃん」なのでしょうか。なんかピントきませんが「瞳」をつけたことで、字幕史上に残る名訳になりました。しかもバーグマンの美しいこと!ため息しか出ませんねえ
このくだりは「シネマDEクイズ」/第7回の問題編、解答編でも述べさせていただいています
この映画ほど名セリフの多い映画も珍しい!
「10年前は何してた?」
「歯の矯正をしていたわ」
恋愛映画であるものの、第二次大戦下の物語であるため時代背景が色濃く出てます
「As Time Goes By」
(時の過ぎゆくままに)
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サムが唄う主題歌
この映画は、音楽もすばらしい!目立つというより、俳優の後押ししている優しさと力強さがあります
リックの酒場で、ドイツ軍の歌に負けじと大合唱となった「ラ・マルセイエーズ」!作品の中にほとばしる反ナチスの感情は、戦時中に作られたせいか力強いです
ロマンスだけでなく、リックの店で絡み合う登場人物のさまざまな思惑、人間模様がよくできています。さらに、光りと影のコントラストを活かして、カットからカットへ次々とたたみかけてくるので、古い映画のわりにはテンポがいいですねえ
人生で一度くらい、命がけの見栄をはってみたい

ストーリーは、途中まで劇中曲「時の過ぎ行くままに」を地でいくようにゆっくり進みますが、中盤からのまとめが見事です。戦争下の状況での恋、友情、そして男の生きざまが交錯します。ボギーに「男の美学」を見いだせるかどうかでしょうか
飛行場でのラストシーン
二人の乗る飛行機のプロペラが回った時の三者三様の表情がいい
「離れないと約束したわ」
「オレには、君と幸せだったパリの思い出があるさ」
「君にもいつかわかる、君の瞳に乾杯!」
霧の空港を肩を並べて去るボギーとクロード・レインズの後ろ姿・・・典型的な映画のラストシーンでありながら、実によかっです!ボギーのトレンチコートの後ろ姿がかっこいいこと!
「ルイ、これが友情の始まりだな」
昨今の映画ではめったに見られない「粋」な映画です!
単なる、甘ったるい古い映画と思うことなかれ!
是非、三度はご覧ください!
最後に「As Time Goes By」の音楽とともに、古きよき名優たちに乾杯!











