北海道三笠市の山の中に眠る北海道炭坑鉄道会社(北炭)の旧幾春別炭鉱錦立坑櫓を訪れてみた。ずっと前から行ってみたかった場所だった。大正9(1920)年12月完成で、そろそろ完成から百年。高さは約10メートルだが、ここから地下215メートルまで降りることができた。月並みな表現だがすごくラピュタの最初に出てくる鉱山っぽい(なおラピュタの製作ではスコットランド地方の炭鉱を参考にしたという)。



行き方については、三笠市立博物館(ここもとても面白い博物館)で地図を配布しているので、それを見るのが一番手っ取り早い。駐車場もあるので。まずは遊歩道で幾春別川を渡る。遊歩道も大部分は森林鉄道(森林資源だけでなく石炭も運搬していた)を転用したものだ。


この時は、連日の大雨で増水しまくっていた幾春別川を上流に向かって撮影。上流には巨大な桂沢湖(桂沢ダム)が存在している。遊歩道は川の右岸を行く。


遊歩道の対岸に見えてきた巨大な露頭。元々は石炭の大露頭があり、明治期には露天掘りが行われていた場所だ。


これは幾春別層と呼ばれる地層。



案内板に書かれていた古い地図と古写真。とても参考になる。


さて立坑櫓には遊歩道から一回はずれる。案内標識もあるので見落とす心配はない。


坂を歩くと。


出てきたのは念願の、北炭旧幾春別炭鉱錦立坑櫓。要は巨大地下エレベーターの最上部分。巨大な4つの円が頼もしい。


レンガ造りの建物は動力機械が入っていた巻揚室。


案内板。


北炭の社章。


こちらは現存する実際の社章。


鉄がボロボロの箇所もあるが、百年近い歳月を経ながら、なお武骨な鉄材には存在感があり非常に頼もしい。


滑車のリベット。この鉄骨は初期の官営八幡製鉄所で生産されたものが使われた。


リベットがちょっとかわいらしい。


ぐるぐる回る滑車は巻揚室の方に入っていく。



巻揚室の前面が黒く塗られているのはコールタールを塗布しているから。おそらく油が飛び散るため、あらかじめ黒く塗装しているのだろう。


巻揚室の内側から。





巻揚室。機械そのものは撤去されてしまった。


巨大な空間。一部立入可能な地区もある(写真は側面の窓から撮影)


上部。緑が美しい。


床にはぽっかり空いた空間。立坑のエレベーターを動かす機械側の滑車が入っていた空間だったのだろう。内部には水がたまっていた。


案内板。非常にわかりやすい。


往年の写真。山に木々がなく、家と工場だらけなのに驚かされる。過去と比べると、自然については相当戻っている。かつては炭鉱で栄えた大工業地帯だった。


地図。鉄道の路線図もわかる。左側(西側)の分岐から、上部(北側)へと延びる分岐線は、奔別炭坑の方へと向かう線路だ。この錦坑も昭和32年に合理化の一環で、奔別炭坑に統合され閉鎖されている(このあたり記憶あやふや)。