SUI子がTシャツを作った時にこんなコメントを出しています。
「大夕張、炭鉱街のそこが私の母の故郷です。しかし母はもう故郷には帰れません。間もなくダムの底に沈むのです。かつて約2万人いた街は壊され、今は建物の土台すらなくなり、そんな故郷を見た母の悲しそうな顔は今でも忘れられません。私はそんな母の心の中にある故郷への思いを形にしたかったのです」
母の故郷・大夕張 刻む 社紋入れTシャツ
■東京の女性、ゆかりの社紋入れTシャツ
【上山浩也】かつて炭鉱で栄え、夕張シューパロダムの建設で水没する夕張市鹿島地区。大夕張(おおゆうばり)とも呼ばれたその地区で育った母への思いを
込めて、東京に住む女性がTシャツをつくった。売り上げの10%は、同市の石炭産業と人々を支えた鉄道の関連文化財保護に取り組む三菱大夕張鉄道保存会に寄付される。
■水没控え「形で残したい」
Tシャツを発案したのは東京都江東区の高橋羅夢(らむ)さん(27)。母のかよさん(66)は宮城県で生まれ、2歳の頃に三菱大夕張炭鉱へ働きに出た父親とともに鹿島地区へ。15歳の頃に集団就職で神奈川県に移るまでを過ごした。市が最も栄えた昭和20~30年代だった。
羅夢さんは中学2年生だった1999年夏、一家で夕張を旅した。「母のふるさとが残っているうちに見に行こうと、父が提案してくれた」。正面に夕張岳を 望む旧鹿島小学校(その年の秋に解体)などを見て回ったが、すでに炭鉱住宅はほぼ取り壊されていた。「何もなくなっちゃったね」と、寂しそうに語る母の姿が心に焼き付いた。
産業遺産などを撮影し、将来的には資料として残したいと考えている羅夢さんは昨夏、再び夕張を訪れて同様にダム湖に沈む三弦橋などを撮影。今年になって「大夕張を何とか形にして残したい」と思い、Tシャツ制作などをしている知人に依頼した。
シャツには明治時代に創立した大夕張炭鉱の社紋(円で書かれた「大夕」)をあしらい、三菱大夕張炭鉱が閉山した年の「1973」が刻まれている。「忘れられてしまうと、本当に終わりになってしまう。一人でも多く、大夕張に興味を持ってもらえたらと思う」と羅夢さん。保存会の奥山道紀会長は「夕張にいたことがなくても、自分のルーツをたどって感じたものがあったのか、ありがたいことです」と話す。
シャツは黒、灰色、緑など5色。税込みで半袖は2680円、長袖3680円、パーカ5180円。送料は1枚につき400円(パーカは800円)で、発注はシャツを受注制作する「マニアパレル」のブログ から。