どっこい大田の工匠たち 小関智弘 2013年 現代書館
大田区にある街工場にいる凄腕たちのインタビュー記事です。
著者である小関さん自身、50年間旋盤工として同地区で活躍していた経歴を持つ方。
出演する凄腕職人さんたちはやはり年配の方が多めのため
著者と出演する職人さんたちの『かつての大田の姿』という共通の記憶に関する記述も多いです。
それこそ金属を削る工場の音が聞こえてくるような。
月並みではありますが、こういう凄腕たちが日本の驚異的な産業の発展を支えてきたし
現在進行形で支えているのだ、ということを忘れてはいけないと思います。
逆に技術の継承がうまいこと行かないまま、ロストテクノロジーとなってしまった技術なんかも
相当数あるんじゃないかと思います。
今はこのようにして知識として広く知ってもらうということはできますが
本質的な問題として、
『じゃ、誰がそれをやるの?引き継ぐの?』
というのはいずれにしても解決しないとならない話だと思います。
製造業がもっとお金を稼ぐことができ、
職人であることが尊敬されることであり
若い人も若くない人も、それを志すことができる
(金銭的に苦しい生活だからその道に入るのはやめた方がいいよ、とか
年齢的にそれをやるのはもう遅いよ、とか)
そんな世の中になればいいなと思います。
日本が停滞期に入ってからもう随分経ちます。
停滞どころか凋落してます。
原因はさまざまあるのでしょうが、結局のところ
日本人がものを作ることを軽視してしまった結果、というような気もします。
そこには新興国の台頭によるコストのあれこれなどあるとは思うのですが。
情報産業ばかりが脚光を浴びがちですが
我々人間はデータを食って生きていけるわけではないですし
そもそも情報産業だって人間が作ったものがないと始まりませんしね。
これ、俺が作ったんだよ、ってセリフ
ちょっとかっこいいと思うんですよね。
と、まあ話がそれてしまいましたが
カッコいいおっさん、爺さんたちの話がたくさん詰まってます。
面白い本です。