台湾海峡一九四九 龍應台 天野健太郎:訳
白水社 2012年
原題:大江大海1949
という本です。
龍應台という作者(台湾生まれの外省人2世。文科相の初代大臣だそうです)
が主に外省人が1945~1950の5年間に体験した事を、
当事者本人からヒアリングをして記録する、という内容の本です。
が、外省人だけの物語が記載されているわけでもなく
当時あの辺りに『たまたま何かのめぐり合わせで居合わせてしまった普通の人達の苦難』
が記録されています。
外省人、本省人、原住民、国民党、共産党、日本人、アメリカ人・・・・
様々なカテゴリの人間が出てきますが、本当にただの普通の人の話で
『だから共産党がわるい、日本がわるい、国民党がわるい、にくい、』
というような恨みの話ではありません。
もうそういう次元の話じゃないんです。
もっと根底の、
なんで?どうしてこうなった?
これからどうすればいいの?これからどうなるの?
そういう次元の話です。
壮絶です。
たまたま、たまたまそこに居たから巻き込まれて海を渡る羽目になり、
家に帰るのに50年かかった、とか。
午後には戻るつもりで午前中にでかけたら、午後には戻れず50年、とか。
普通の人なんです。
逆に言うと、こういう人達がたくさんいたわけです。
珍しくもない話なんです。
とにかく、台湾をめぐる状況は本当に複雑です。
特に終戦からの数年間を始めとして、そこからずっと今に至るまで。
台湾旅行、楽しいです。
人は優しい、食べ物美味しい、なんだか懐かしい。
今はコロナでいけませんが、行けるようになったら
どんどん行ったら良いと思うんです。
でもね、当たり前ですが、
今の台湾は、1949年から続いているわけです。
こういう体験を経て,ああいう場所になっている、ということを
知っていたほうが、旅行に行ったとき、もっと色んなものが見えるんじゃないかなと。
日本からでは中々スポットの当たりにくい、
ごく普通の外省人、の記憶。
日本人としても知っておいたほうが良いことが書いてあると思います。
台湾に興味のある全ての方におすすめできると思います。
次は白色テロ期の本を読んでみようかと。