施術時の圧についてです。
リンパドレナージュオンリーの施術メニューでなさっているセラピストの方に向けては、
また別の機会に書きます。
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「マッサージ大好き」なお客さまがご来店なさったときには
お好みの圧を聞いてみます。
するとたいてい、「強めがいいです」
という答えが返ってきます。
これって、自然な流れだと思います。
なぜかというと、筋肉のこわばりをがんがん「マッサージ」することで
ますます筋肉のこわばりが強くなり、
そうなると今までより強い圧での「マッサージ」じゃないと物足りなく感じるようになるから。
この流れが主流になっていることが正しいかどうかはおいておいて
身体そのものの状況を掘り下げて考えてみましょう。
まず、凝り固まっている僧帽筋ちゃんや脊柱起立筋ちゃんや腸腰筋ちゃんたちの
状態をイメージしてみてください。
彼女たちの本来の伸び伸びとしたしなやかさは
日常的に加えられる負荷により、地中深くに埋め込まれています。
身体が縮こまると、気持ちまでついてくるものです。
彼女たちは、
持ち主ががんばっているために自分の身動きがとれなくなっていることを
よくわかっているので、ケアをしてほしいというサインは出しますが、
こわばりがある程度のところまでくると、黙って耐えるようになります。
そして、自分を優しく丁寧に扱い、なおかつよ~く話を聞いてくれる王子が現れるのを
心待ちにする日々が始まるのです。
まぁ、しんどいですがある意味、平和で安定した毎日です。
ですがある日、持ち主は決心します。
このまましんどいのが続くのはいやだ。
「プロのマッサージ」を受けてみよう
そして、自分の希望を聞いてくれるお店を見つけます。
持ち主の希望というのは簡単です。
今すぐ楽になりたい。凝ってるところをピンポイントでがっつり「マッサージ」してほしい。
そこでお店の人は、指やヒジやかかとや棒、んもう文字通りあらゆる手段を使って
筋肉ちゃんたちをぐいぐい押しまくります。
それが彼らのお仕事だと信じてますから。
彼女たちは、急に騒がしくなった外界に驚き、尋ねます。
きゅい~ん、きゃい~ん、なにが起こったの~~~??って。
そこで押してる人は答えます。
いや、早くリラックスさせて救い出してあげようと思って、愛と力をこめてるんだよ。
愛は盲目。
良かれと思ってやってあげたことが裏目にでて
かえって相手の気持ちが頑なになってしまうことは、世の中珍しくありません。
悲しいかな、筋肉ちゃんたちにも同様のことが起こります。
しかも、彼女たちはすぐにはいやだと言いません。
その場でいったんは、ありがとうとにっこり笑ってくれます。
そして、帰宅してしばらくしてから本音がでます。
やっぱムリ。めっちゃ驚いたし。なんか筋繊維傷ついたし。
ぐすん。心開けなんてムリ。脳みそ筋肉の人、ムリ。
再び縮こまります。
すぐに言ってくれればいいのに、ちょっとめんどくさいタイプです。
でも、持ち主は、本当のところ何が起こっているのかわかりません。
「マッサージ」を受けたらスッキリして楽になったけど、数日したらまた重くなってくるので
今度はもっと強くもんでも~らお、と思って、せっせとお店に通います。
お店の人は、「御意」と言うかはわかりませんが、
お客さまのリクエストに応えてもっと強く「マッサージ」します。
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さて、突然ですがここでクイズです。
じゃかじゃん
問題:お客さまへの施術の際、力加減を決める責任があるのは誰でしょう?
A.お客さま
B.筋肉ちゃんたち
C.脳みそ筋肉の人
D.セラピスト
…答え、わかりましたか?
…ファイナルアンサー?(年代がわかりますねぇ)
そうです、正解は「D.セラピスト」です。
だって、わたしたちはプロですから。
お客さまは、ここがしんどいっていっても、そこがしんどさの原因かどうかとか、
わかりませんから。
でも、わたしたちはわかります。
そこを丁寧にご説明して、
必ずしもご希望通りの圧やアプローチにならないこともあると
きちんとお伝えしましょう。
カウンセリングの段階では納得しきっていただけないかもですが
施術の結果でご理解いただきましょう