強みを増やし、磨き続ける――自信のなかった彼女が、プロとして頼られる存在になるまで | はたらく日本の女性を元気にするブログ! Produced by WOMenLABO

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エン・ジャパンを『世界で一番、女性が活躍する会社にするプロジェクト』に参加する女性メンバー達のブログです。

若さやかわいさだけを武器にしていると、27歳くらいで賞味期限が切れるわよ

 

ズバリそう答えるのは、女性活躍推進の講演・ワークショップなどを多数手がけるプロノバ代表の岡島悦子さん。エン・ジャパンの女性社員向け講演会に参加していた当時入社2年目の私は、核心を突く言葉にハッとすると同時に、「早い段階ではっきり言ってもらえて良かった」と心底思いました。

 

 

いずれ出産を望むならば、勝負はそれまでに決まると思ったほうが良い。”また戻ってきてほしい”と思われる人材になっているかどうかが重要だから。そのために必要なのは、会社や上司との信頼貯金を積み重ねること

 

 

この視点を得てから、「信頼貯金」を意識して仕事をしてきたつもりですが、まだまだだな...と思うこともしばしば。


でも、私の周りには、まさにこれを体現している女性社員がいます。


入社6年目、27歳の仲野。「賞味期限切れ」とは程遠い、活躍中のエース営業。2013年に入社し、派遣会社を支援する部署で「大手派遣会社」の支援を担うチームリーダーを任されています。

 

<Profile>2013年入社、新卒事業部へ配属。2013年度4Qに、入社1年未満の活躍社員に贈られる「新人賞」を受賞。新卒事業の撤退とともに派遣会社の支援を行う部署へ異動。約1年間中小企業の担当をした後、大手企業を担当するグループへ異動。2017年度4Q、全社員の中からシンボリックな成果を出した社員が選出される「社長賞」を受賞。

 

■若さだけでは、社長の役には立てない


―仲野さんはずっと、私にとって「活躍している憧れの先輩」という印象でした。やっぱり1年目の頃から優秀だったんですか?

 

いえいえ、全然そんなことはありませんでした。むしろ全く自信がなくて。入社したとき、「自分は劣っている」って思ったんです。同期たちは皆、積極的に発言したり、教養があったりして、すごく優秀に見えた。

私はスポーツ推薦で大学に入っているから、勉強が全然できなくて。下のクラスの下の評価でなんとか単位をもらう、みたいなレベル。スタート地点が違いすぎるから、人以上に努力をしないと「普通」の土台に上がれない。そう思って、自分が頑張ればできることは全部やろう、と心に決めてやってきました。

 



-具体的にはどんなことを?



日経新聞や社長のブログは毎日必ずチェックしていました。インプットした情報はノートに貼って、そこに自分の意見をまとめていく。ただインプットするだけじゃなくて、「で、何が言いたいの?」を必ずアウトプットするようにしていました。このノートは商談にも持っていって、「他社ではこういう取り組みをしたら効果が出たそうですよ」と社長に伝えて、実際の営業トークに活かしていました。

当時は新卒採用のコンサルティングをする部署にいたから、社長商談が多かったんです。自分の若さなんて、クライアントにとっては何の価値もない。「こんな新人が社長に何を提供できるんだろう?」と怖くて仕方がなかった。基本的に自分に自信がないから、何かしらの事例や、信憑性のある話だったら信頼してもらえるんじゃないか。そう考えて、世の中の社長って何に悩んでいるんだろう?どんな情報があれば役に立てるんだろう?とひたすら知恵を絞ろうと決めていました。

 

■「仲野さんみたいな新人を採用したい」

 

 


-自信がないからこそ、コツコツ努力していたんですね。その努力が実ったと感じたのはどのようなときですか?


「仲野さんみたいに一生懸命考えてくれる新人って、どうやったら採用できるの?」って言ってもらえたときです。1年目の3月、最後に発注をくれた社長からの一言でした。頑張ってきたことが評価してもらえたんだと実感できて、もう本当にうれしかったですね。

実はその頃、新卒事業の撤退が決まっていました。数ヶ月後にはなくなると分かっている商品でどう価値を提供するのか、ひたすら考え続ける日々でした。



-なくなる商品を売るって、とても難しいことですよね。どんな風に考え、行動したのでしょうか。


商品を売るんじゃなくて、お客さんの課題解決をすればいいんだ、と考えたんです。「この商品を使うこと」ではなく、「新卒採用をすること」がクライアントにとっていかに良い影響をもたらすか、という提案をしました。

最後に発注をくれた社長は、元々新卒採用をやっていなかったのですが、私の提案を受けて始めてくれました。たとえ商品がなくなるとしても、採用ターゲットの設定の仕方や選考方法などのノウハウは伝えられる。残せる価値を提供することで、発注いただくことができたんです。

結果的に事業部内で1番の成績を残し、新人賞(*)を受賞しました。

*…入社1年未満で、シンボリックな活躍をした社員に贈られる賞。

 

■"変われない自分"でいたくない


自分に自信がない。社長との商談は怖い。でも、その怖さから逃げずに向き合って地道なインプットとアウトプットを続けた仲野。そんな努力が、成果や信頼に繋がっていきました。

新人時代に培った「コツコツ取り組む姿勢」は、その後のキャリアにおいても力を発揮することになります。

 

 


―仲野さんは、あらゆることにマニアックですよね。たとえば、”応募が集まりやすい原稿の書き方”とか。

 

そうですね。原稿の書き方はすごく研究しました。

大手の派遣会社は、数百件、数千件という単位で求人情報を掲載しています。その原稿一つひとつをどれだけ適切な形で届けられるか。そこにこだわることで、より多くのユーザーが、希望にかなう仕事と出会うことができる。そう気づいたのがきっかけでした。



―原稿一つひとつにこだわる。具体的に、どのように取り組んだのでしょう?


ユーザーを知ること、寄り添うことを大切にしました。

たとえば、未経験の仕事にチャレンジしようとしている人ってすごく不安だと思うんです。いくら求人に「未経験OK」と書かれていても、本当にそうなのかな?自分には難しいのではないか?と思い、応募をためらってしまう。そんなユーザーの背中を押すような原稿が書けないか。どういう言葉で伝えたら、チャレンジしてみようと思ってもらえるのか。それをひたすら考えました。

ユーザーの気持ちを知るために、社内の派遣社員の方に原稿を見てもらい、細かい言葉選びについてアドバイスをもらったり。社外の人と会ったときには、仕事について詳しく教えてもらって職種理解を深めたり。

そうやって得た情報を、求人原稿に活かす。その積み重ねで、適切な形でお仕事を届けられるようになり、派遣会社からの評価も上がっていきました。


-どうしてそんなに努力し続けられるんですか?


基本的に、やっぱり怖いんです。ずっと同じ環境で仕事ができる世の中ではないと思っていて。環境が変化したときに、適応できないことが一番怖い。

適応できる自分でいるためには、今の環境で全力で頑張ること。そして、身につけた考え方やスキルを別の環境でも発揮できるように、その都度ないがしろにしないで整理しておくことが大事だと思っているんです。だから、一瞬一瞬を頑張る癖を、頑張ってつけている、という感じですね。



編集後記

いつも全力で、仕事に真摯に向き合っている仲野さん。社内外からの信頼は厚く、個人的にも尊敬している先輩です。

今回のインタビューを通じて、根底には「怖さ」「自信のなさ」があったということを初めて知りました。自信がないと、理由をつくって逃げてしまう人もいる。でも、逃げずに真正面から取り組むことができるのが、仲野さんの強みなのだろうなと感じました。

最後に、インタビュー後に仲野さんからもらったメールをご紹介します。

「臆病な性格は変えられないけれど、”怖いからできない”じゃなくて、”怖いけど、努力したらできるかもしれない。やってみたい”と思える人になれたらカッコイイし、もっと人生が充実するだろうなと思って取り組んでいます。自分で自分の可能性を閉ざすのは、もったいないから」

 

[取材・文 塩冶 恵子]