今の時代、ずいぶん便利な世の中に成りました
携帯電話 通称『携帯』
ココまで進化し、手頃な値段で普及するとは思わなかった
パソコンもそうである
買い物も、会話も、どんなに離れてても出来てしまう
便利な世の中である
そんな通信手段も無い頃の、でもチョットだけ前の時代の物語・・・
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇ テ レ カ ◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
$ 代1章 はじまり $
春、桜が散るころ
1つの命の灯火が消えた
春日 一平(かすが いっぺい) の彼女 佐倉 詩織(さくら しおり)だ
交通事故だった
一平と詩織は将来を誓い合った仲だった
当時の一平は事態を受け入れる事が出来ず
詩織を捜して彷徨った
周りの友人も掛ける言葉も無く遠くで見守るしか無かった
時は過ぎ 早くも三回忌を迎えていた
一平は普段は普通に会話し、生活をしているが
ふとした瞬間に詩織の事を思い出し涙する日々を
送ってた
この日は懐かしい友人達が集まり、詩織を思い出していた
ドジな話や可愛かった所等、わいわい言って話した
故人にはそれが嬉しいのだそうです
そんな中、一平が泣き崩れて叫びだした
『詩織~何処に居るんだよ~帰って来てくれよ~』
そんな姿を見た一人の女性が一平に近づき宥めてる
詩織の無二の親友 岡村 裕子(おかむら ゆうこ)だ
『一平!そんなんじゃあ詩織、安心できないよ
シッカリしなさい』
不思議と裕子が宥めると落ち着く一平だった
『ごめん、俺、まだ詩織の事が信じられなくて
どこかで生きている様な気がして・・・』
裕子は言葉を継いだ
『い~い? 詩織は貴方を見てるの、判る?そんなんじゃあ心配で
成仏出来ないって言ってるのよ』
気迫に満ちた言葉だ
一平はうんうんと、返事はするが気持ちは他所に有る
友人たちもさすがにあきれて言葉を漏らす
『もう3回忌だぞ、いい加減で忘れたらどうなんだ?』
『ん?今誰が言った?お前たち冷血動物に何が判るんだ?!!』
一平は掴みかかって行った
すかさず裕子が一平を羽交い締めにして伏せ倒す
目に涙を一杯溜めて・・・
『いい加減にして!!』
そう言いながら無き伏せた
一平も落ち着いた
『ごめん、みんな・・・俺が居たんじゃあ供養に成らないな』
そう言うと一平はゆっくりと立ち上がり
外へと出て行った
裕子がそっと後を追った
家の近くの河川敷に一平はしゃがみ込んでた
裕子はそっと近づいて横にペタンと腰を降ろした
『ねえ、一平・・・』
何かを言おうとした裕子にかぶせて一平が口を開いた
『俺、何かを忘れてるんだ・・・詩織と何かを・・・』
裕子は優しく聞いた
『約束かな?』
『そうじゃあない何か違う、心がグシャグシャに成る様な・・・』
『辛いの?』
『うん、辛い・・・夢にも出て来るんだけど判らない・・・』
『何かさー、思い出したら話してね 私聞くから・・・ね?』
『判ったよ、君に言うよ判ったらね』
一平は不思議と裕子には普通で居られた
しかし、一旦離れると
箍(たが)が外れて暴走が始まる
酒を飲みぐでんぐでんで街を彷徨う
詩織の名前を叫びながら・・・
そんな中名前も知らない公園のベンチに倒れこむ一平
意識が遠のきまさに意識を失いかけた瞬間
公衆電話のベルが鳴った
つづく・・・・
