<<暗黙了解>>
 
この森には熊も猪達も棲んでいる。
私と犬達は、彼らと共存している。
我我と彼らは暗黙の了解を心得ている。
できる限り相手の事情に配慮している。
もし互いの暗黙の了解が無ければ、
我我家族はここで暮らすことはできないだろう。
いつも不測の事態が起こることになるだろう。
実際に森の中で野生の彼らを間近で見れば、
秘められたパワーの凄さと美しさが実感できる。
ほんとうに凄いのだ。ほんとうに美しいのだ。
猟銃で武装する人間には、
彼らの真髄は理解できないだろう。
素手丸腰の暗黙了解心で歩いてこそ、
彼らの凄さと美しさと全身全霊が理解できる。
この森には私以外の人間は入って来ない。
私以外の人間が近づくと、すぐに分かる。
森全体が警戒態勢の気配となるからだ。
時には烈しい警告ラップ音が連続して鳴り響く。
これはほんとうの話である。
犬達と散歩に出る時には、森の動物達に声をかける。
「今から散歩に行くよ!」と、森の皆皆にお知らせする。
そうすると、互いに思わぬ至近遭遇を避けられる。
昨年五月に猪達と鉢合わせしてしまったが、
犬達との散歩中に鉢合わせしてしまったのは、
ここの長年の暮らしの中で、その一度きりである。
あの時は凄い事態となったのだが、
その件は互いに、きれいさっぱりと水に流した。
その後は以前どおりに、互いに自然体で暮らしている。
熊は八年前に、二週間に亘って我家に訪問を続けたが、
それ以来は来ていない。何かを感じてくれたのだろう。
野生の成獣の熊の気配というものは、非常に重厚である。
とくに夜の森だと、その重厚さを、さらにありありと感じる。
犬達は熊が遠くでも鋭く感知するが堂堂と自然体である。
 
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4月24日。ようやく10日に車が入って来れるようになった。
1月半ばから3ヶ月近く、森の入口からリュックを背負って深雪を歩いた。
だがまだ地中は少し凍結しているから、もし雨が降れば極悪路となる。
 
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「24日同時刻」
 
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4月23日。犬達と山の動物達は目には見えない交信をしている。
その暗黙の交信が無ければ、不測の事態が続発することになるだろう。
 
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2014:04:25 ≫