<<犬と人・追記>>
 
前記事に書いたように今の犬達は、
穏やかに人間世界に恭順してくれている。
人間という異種族と、穏やかに暮らしている。
野生世界の過酷な掟から離れた時、
こんなにも動物達は穏やかな姿を見せるのだ。
だがその穏やかさは、実は野生の時にもあったのだ。
実は野生動物にも、その穏やかさは隠されているのだ。
ただその穏やかさは、普段は見せる機会が無いのである。
過酷な掟の野生世界では、見せる機会は限られているのだ。
だが今の人間世界の犬達は、穏やかな姿を存分に見せてくれる。
その貴重な姿を、人人は目にしているのである。
それが貴重な姿であることを、人人に知ってもらいたい。
野生狩猟獣だった犬達が、密かな深奥を見せてくれているのだ。
野生世界に密かに隠された真実の領域を見せてくれているのだ。
前記事では上手く書けなかったが、
ほんとうは、そのことを知ってもらいたかったのだ。
 
私はこの森で、野生動物を間近に見てきた。
熊とも猪とも、素手丸腰で至近距離で遭遇している。
その時に感じたことは、彼らの深くの密かな心だ。
彼らの逞しい身体の奥深くに、密かな心が見えた。
それは犬達の純心と同質のものだった。
種は異なれど、姿形は異なれど、その奥の純心は同じだ。
熊とは二メートルの近さだった。猪には両手で触れた。
熊と私は互いに何かを感じた。猪と私は互いに何かを感じた。
その何かは、言葉にできないほどに尊いものだと感じた。
 
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2013:10:12 ≫