<<熊の森>>
 
イメージ 1
 
これは森の我家への小道の途中。
我家から70mほど手前の場所である。
一週間前、ここで車を止めて気持を集中させていた。
我家に到着した途端に狼山日課が始まるからだ。
車中で深く気持を集中させていると、
小道の10m先を、熊が横切っていった。
この写真の左から右へと横切っていったのだ。
頭胴長はハスキーくらいだったから、まだ子どもだ。
人間で言えば、まだ中学生くらいだろう。
因みに体長はハスキーくらいでも、
未成獣と言えども熊だから体幅は倍以上ある。
その「塊り感」は、犬とは比較にならないのだ。
そして森で見る熊の塊り感は、素晴らしく見事だ。
熊が横切る前に、我家の犬たちが一斉に遠吠えした。
彼らは我家に山獣が近づいた時には遠吠えするので、
だから何者かが近くに居ることは分かったのだが、
それが熊だとは、横切る姿を見るまで分からなかった。
7年前に熊が我家を訪れたことは記事「光の母熊」で書いたが、
この森で熊を間近に見たのは7年振りなのである。
この森に熊たちは棲息しているのだが普段は遭遇しないのだ。
この森には「暗黙の了解」があるから、
普段は熊たちも我我との間合いに配慮しているのだ。
そして我我も、その暗黙の了解を胆に銘じている。
犬たちは熊の存在を百も承知しているから、
熊のテリトリーに深く入ることは自重しているのだ。
それは熊が怖いからでは無い。
ほんとうは彼らは、熊のエリアにも遊びに行きたいのだ。
だが我我には掟があるから、彼らは我慢してくれるのだ。
だから我我はこの森で生きていられるのである。
暗黙の了解を無視すれば、緊迫事態の毎日となるのだ。
しかしあの子熊は、ちゃんと食べれているだろうか。
痩せているようには見えなかったが、とても心配になる。
この森に彼らの食料が豊かであることを一心に祈った。
この森には熊や猪や鹿やキツネやウサギが棲んでいる。
彼らは全ての皆皆が全員、全身全霊で生きている。
誰ひとりとして、軽薄怠惰に生きてはいない。
誰ひとりとして贅沢せず、醜い過剰快楽など求めない。
この森に棲んでいると、それが痛切に伝わってくるのだ。
ところで記事「野性の掟」の猪たちも元気な様子だ。
過去記事で紹介した「泥浴場」にも入浴に来ている。
 
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2013:07:25 ≫