<<森のカラス家族>>
 
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子どものカラス。 まだ小さい。 飛ぶ練習の日日。
 
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「子どものカラス」の拡大写真。
 
前記事「心観森羅」に書いた、森の我家の間近に棲むカラス家族たち。
赤ちゃんカラスは少し大きくなり、飛ぶ練習をするようになった。
しかしまだ木木を飛び移る程度しかできない様子である。
しっかり飛べるようになるには、まだ暫くかかりそうである。
子カラスの幼さが、ほんとうに可愛い。
その幼い「ガーガー」という声も、ほんとうに可愛い。
しかし子カラスは、全身全霊で、がんばっているのである。
子カラスは、「生きるか死ぬか」の境界上に立っているのだ。
なぜこんなにも可愛く感じるのかといえば、
つまりそこに崇高な全身全霊が隠されているからなのだ。
 
指導役の親カラスは、
半径30mくらいの距離で移動しながら見守っている。
あまり至近距離までは子カラスに近づかないのだ。
なにしろこれは将来の生死に関わる大練習なのだから、
当然ながら厳しさも要求されるのである。
過剰に甘やかすということは、
その子カラスの命運を絶つことになるのだ。
だが親カラスは、もちろん厳しいだけではない。
微塵も油断なく真剣に子カラスを見守っている。
そして全身全霊で子カラスを叱咤激励している。
その叱咤激励もまた、絶妙至極なのである。
とにかく野生たちは、指導の達人なのである。
人間社会の親や指導立場の人人も、
野生たちを見習えばいいと思う。
ところで彼ら家族は、まぎれも無く「会話」をしている。
言語ではなく、声の言霊で会話しているのだ。
彼らの声には深いニュアンスが隠されているのだ。
その深いニュアンスを、互いに感受するのである。
見方を変えれば、これは言語会話よりも高度な会話だ。
 
仕事を終えて森の我家に帰るとき。
森の中の小道の途中で車を止める。
そして森の様子を息を潜めて聴く。
暫く耳を澄ませていると、
子カラスの幼い「ガーガー」という声と、
親カラスの愛に満ちた叱咤激励の声が聴こえる。
「ああ、、今日もまだいてくれたんだ!」と嬉しくなる。
野生世界は一生が試練の連続である。
いつまでも無事で生きられるわけでは無い。
子カラスもまた、明日がどうなるかは分からない。
毎日毎日が、生死の境界上の命懸けなのである。
だからこんなにも胸を打たれる。
だからこんなにも彼らは美しい。
正真正銘の全身全霊に、震えるほどに感動する。
 
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2013:07:12 ≫