<<心観森羅>>
この森に棲んで、長い長い年月が過ぎた。
私と犬たちにとって、この森が唯一の故郷だ。
我我はこの森より他に、帰る場所は無いのだ。
犬たちは、この森が好きで好きでたまらない。
零下20度の冬にも、その想いは変わらない。
彼らの喜ぶ姿を見れば、この自分も嬉しくなる。
彼らはこの森のことを、とことん知っている。
この自分などより、何十倍も知っている。
私は彼らから「心観森羅」を学んできた。
この森は清浄至極だ。なぜ清浄さを保てるのか?
動物たちや鳥たちや虫たちや植物たちや微生物たちの、
彼ら全ての全員の懸命の努力の賜物である。
彼らの生涯そのものが、森の絶妙調和を成し遂げている。
絶妙調和が成されれば、自ずと清浄至極となるのである。
だが彼らの生涯は、とても厳しい。
彼らの厳しい生涯を想うと泣けてくる。
彼らがどれほど全身全霊で生きているか。
ただただ「ありがとうございます」と感謝する。
その感謝の思いを込めて、ただ一心に祈る。
渾身の華厳心で彼らに祈りを捧げていると、
森の命たちが私を見つめている。
彼らの姿は見えずとも、ありありと感じるのだ。

2013年6月10日。森の中はジャングルのようだ。
標高1300mの森は梅雨期でも湿気は極めて少なく爽やかだ。

2013年7月1日。我我の運動コース。この犬道は動物たちも利用する。

2013年7月1日。ここでも野性禅に入る。漆黒の夜でも坐る。動物たちも近づいてくる。

2013年6月29日。犬舎から20mくらい離れた場所。
この唐松の高木の天辺に近いところに、カラスの巣がある。
写真の「青色に染まった付近」にあるようだが、巣は見えない。
この「青色」は写真加工したものではなく、このように映ったのだ。
巣は最近にできた。巣からは「カラスの赤ちゃん」の声が聴こえる。
とてもとても可愛い声である。切なくなるほどに可愛い声だ。
赤ちゃんたちは、親カラスが帰ってくる時に喜んで鳴くのである。
親カラスは、上空から帰宅の合図を赤ちゃんたちに送るのだ。
だが赤ちゃんたちは、それ以外の時には、見事に静かなままである。
赤ちゃんたちは、決してダダを捏ねたり我ままを言ったりしないのだ。
彼ら赤ちゃんたちの崇高な野性のスピリットに、心の底から感動する。
ところでこの巣の親カラスは、人里までは採食に行っていない。
飛来する時間の間隔でそれが分かるが、本当の野生カラスなのだ。

2010年6月1日の夕方。かすかに魂の光玉たちが映っている。

2013年2月11日。極寒の森の真君。
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2013:07:03 ≫