<<愛犬観察>>
 
本気で「犬を見る」ということは、
瞬間瞬間に全身を見ていくということである。
目。耳。口。頭。首。背中。四肢。尾。そして全身。
そしてもちろん全体の気配と全体の元気。
それらを「同時」に見るのである。
それは慣れないと難しいかも知れないが、
毎日毎日、本気で見ていけば、習慣になるはずだ。
そしてそれは、愛犬の体調を知るのに不可欠の心得だ。
愛犬を本気で見ていれば、体調など一発で分かるのだ。
ほんの僅かな体調の変化も、一発で分かるはずなのだ。
多くの飼主は、全てを医療機関に依存しているが、
せめて体調くらいは飼主自身で把握すべきである。
 
ところで愛犬の「体温」を知ることも重大である。
いちいち「体温計」を使用しなくとも分かるはずだ。
だいいち、いつも手元に体温計があるとは限らない。
私の場合は指を犬の唇の内側に入れると体温が分かる。
もっと感知するには自分の唇で犬の唇の内側に深く触れる。
≪自分の鼻を犬の鼻に押し当てても体温の様子は分かる≫
ただしこれは、私の場合なので、お薦めはできない。
だからそれぞれに、あくまで自分の可能なスタイルで、
愛犬の体温を直感できる方法を考えておくといいと思う。
もし普段より体温が高ければ、その身体はどういう状況なのか。
もし普段より体温が低ければ、その身体はどういう状況なのか。
身体が闘っているから体温が上昇したのか??
回復への過程として体温が高い状態なのか??
身体が力を失ったから体温が下降したのか??
身体が衰弱して体温が低くなってしまったのか??
その愛犬の内側で、いったい何が起こっているのか??
そういうことを多少なりとも直感で感じ取れることが重要だ。
医療機関に依存する気持は理解できるが、
「もしも病院が無かったら」を想定することも大事だと思う。
昨今の「とにかく病院」「病院に行けば解決」という姿勢は、
「飼主力!」を著しく低下させているように思えるのである。
本当なら愛犬の身体のことは、
他の誰よりも「飼主」が知り尽くしているはずなのだ。
獣医から質問を受け、獣医と相談する立場のはずなのだ。
しかし自分の愛犬の身体を知らない飼主の場合には、
獣医も質問や相談など諦めるほかは無いだろう。
 
因みに「愛犬の身体の保定」も、
その飼主が一番上手なはずなのだ。
本来ならば獣医から保定を頼まれるくらいに、
そのくらいに誰よりも上手なはずなのだ。
「犬の保定」については過去記事でも触れたが、
最も簡単に言えば「固定の圧力と柔らかい弛緩」を、
迷い無く瞬間にレスポンスしていくということだ。
ただ圧力を加えるだけでは、犬は必死になる一方だ。
そして犬に直感の印象となる信頼感を与えることだ。
もちろん最も的確な保定姿勢で臨むことが第一条件だ。
とにかく最大限に犬に余計な不安感を与えないことだ。
自信不足による迷いや躊躇は不安を与えるので禁物だ。
そして保定時には鋭い反応力が要求されるので、
それを肝に銘じて全感覚を動員して集中することだ。
そして保定時には「力」も要求されるので、
常に「全身力」でレスポンスできるように、
日頃から全身力の発揮の練習を積むことだ。
単なる腕力というのは、たかが知れている。
手や腕の単独の力など、たかが知れている。
だから全身の力を瞬間に集結して対応する。
日頃から日常の中で練習していけば、
誰でもそれを習得できるはずである。
 
ところで犬同士の闘争の場合だが、
その怪我は目に見える外傷だけではない。
むしろ内側のダメージが大きいことが多い。
内側の筋肉などが重傷の場合も多いのだ。
そういうことも、全集中力で犬を見ていけば分かる。
内側の損傷の重さを、感覚で感じ取れるようになる。
 
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2013:02:26 ≫