<<犬の尾>>
犬の「尾」は飾りではない。
尾は「心境」と直結している。
そしてそのままに心境を表現する。
ほんの僅かな心境の変化でも、
それは必ず尾に現われるのである。
そして尾は、躍動時の「舵取り」である。
微妙なバランスを絶妙に操作しているのだ。
躍動時には、尾は絶え間なく刻刻と機能する。
だから普段は「巻尾」の犬も、疾走時には巻きを解く。
≪差尾や太刀尾でも疾走時には姿を変えていく≫
低速時なら巻尾のままの場合もあるが、
本気の高速時には巻きを解いて疾走するのだ。
あるいは「ターン」の瞬間には、左右に舵を取るのだ。
連続ターンの場合でも、素早く左右に振って舵取りする。
あるいは休止休息状態では、尾を下ろす場合も多い。
その時の状況に応じて、尾は姿を変えていくのである。

これは三日前の写真。
この場所は下り坂で、しかも細かいターンが続く。
ここを犬たちは相当なスピードで駆け降りる。
深雪を踏み込むから、見た目よりも疾走は大変だ。
前との距離が詰まったので、後方の犬は減速した。
これは減速した時に撮った写真だが、
高速疾走時には、ストライドも尾の姿も異なる。
そしてさらに本気の本当の全力疾走ならば、
鼻先から尻尾の先までが完全に一直線になる。
まさに「一本の矢」の如くに全身が一直線となるのだ。
その時にはもう、脚の動きなど見えないほどである。
その瞬間の状況に直結して、尾は姿を変えていく。
実際に高速連続ターンなどの光景を見れば、
尾が重大な役目を担っていることが分かる。
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2013:02:24 ≫