<<山界対話>>
 
自然は美しい。
自然は厳しい。
どちらもが自然だ。
どちらもが自然だということを、
山の命たちは知っている。
山の命たちは春を喜び春を味わうが、
冬の厳しさを恨んだりはしない。
冬の厳しさに黙黙と耐えている。
黙黙と耐える山の命たちに涙する。
熊たちは冬眠中だが、冬眠だからといって、
気楽に眠りこけている訳ではない。
「極度の省エネモード」に入っているだけだ。
冬眠前に充分な食事ができなければ、
それはひたすら辛い忍耐冬眠となるのである。
冬の山を歩いていると、そういうことが伝わってくる。
山の命たちの心境が、ありありと伝わってくるのだ。
 
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踏み締めたトレイルも、すぐに新雪で埋まる。
強烈な寒気なので、握れないほど完全な粉雪だ。
 
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これは「子どもの猪」のトレイルだ。
 
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山の我家への道は続く。私のトレイルを猪たちも通る。
 
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途中まで子猪の足跡が続いていたが、遠慮して引き返したようだ。
どんな動物も、子どもたちは探検遊びが大好きなのだ。
親は後方で見守り、子どもが無謀な行動をとれば叱るだろう。
山界では節度や間合いや暗黙の了解が重大なのだ。
子どもたちも、だんだんそれを覚えていくのである。
山界では「ダダを捏ねる子ども」などいない。
泣き喚いて我ままを通す子どもたちはいない。
彼らは生まれながらに「命懸けの真剣」だからである。
生まれながらに、生死の意味を知っているのである。
この静寂の山界は、美しい真剣さに満ち満ちている。
 
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2013:02:18 ≫