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狼は犬とは目が違う。
あらゆる犬と、まるで違う。
その目に「狼」が現われている。
その目に「WOLFSPIRIT」が現われている。
当然ながら、雄と雌とでは話は全く異なるが。
雌狼の顔は、もちろん雄よりも柔らかで優しい。
そして雄よりも細くてスマートな顔である。
よく狼のイラストとかを見かけるが、
どうも「雌狼」のようなイラストが多いようだ。
顔のみならず全体的に「華奢」すぎる。
雄狼は顔も全体も、もっと重厚である。
そして肝心な「目の角度」が緩すぎると感じる。
写真のように、狼は目の角度が違う。
狼は犬とは「眼窩」の角度が違うのである。
狼は本気で集中すると、
たとえばイメージ的には、
相手の「1mm」の動きさえ見逃さない。
「1mmの動き」に対しても瞬間に反応する。
だから相手は「金縛り」の状態になるのだ。
狼は目と全身とが直結しているのである。

「剥製標本:極大型北方狼」 大型狼は人人の想像よりも大きい。
狼のもう一つのハイライトは「牙」である。
「鋭い牙」だとイメージする人が多いだろうが、
狼の牙は、とりわけ鋭く尖っているわけではない。
狼の牙の特徴は、大きく頑丈だということだ。
もちろん長いのだが、その根元が凄いのだ。
その根元は実に太く頑丈であり、
アゴにガッシリと埋め込まれているのである。
そうでないと野生世界では通用しないのである。
そしてもちろん「裂肉歯」も大きいのだが、
なにしろ「門歯:牙と牙の間の歯」が見事である。
犬の場合には、この門歯が非常に退化傾向である。
狼の門歯は、小さな犬の牙くらいに立派なのだ。
ところで牙が大きいということは、
アゴも口吻も頑丈だということだ。
そうでないと、大きな牙の意味が無くなる。
もちろんアゴと口吻だけでなく、
首も背中も四肢も、つまり全身の全てが、
大きな牙と直結して相関している。
つまり狼の牙は、全身の強靭さを意味しているのだ。
写真や映像だと狼はスマートに見えるかも知れないが、
実のところは犬とは比較できないパワーの持主なのだ。
当然ながら雄狼の場合には、それが格段に顕著となる。
私は闘犬も含めてマスティフ族と付き合ってきたが、
彼らも確かに非常に強力なアゴの持主なのだが、
だがそれでも狼と比較することはできない。
そしてなにより、犬たちは「牙」が可哀そうである。
あの牙では野生の猛者と比較することはできない。
あるいはいかなる格闘猟犬でも同様である。
単独では野生の猛者には通用しないのである。
ところで犬体審査では歯列や欠歯には注意を払うが、
歯牙の大きさや頑丈さなどには無関心のようである。
野生世界をリアルに想像するには、
こういうことなども知っておく必要があると思う。
こういうことは、おそらく本などには書かれていないはずだ。
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2012:01:13 ≫