**木 心 歌**
幼木の頃に倒れかけた木は、
悪戦苦闘の毎日を耐え続けた。
ギリギリの窮地を踏ん張り続けた。
長い長い年月に亘り、
周囲との相関を絶妙至極に刻刻と予測しながら、
隣木への配慮距離を絶妙至極に刻刻と予測しながら、
己自身のバランスを絶妙至極に刻刻と予測しながら、
結果として見事な曲線を描きながら成長を続けた。
そしてバランスを取り終えると次なる予測に向かった。
そして今は、やっとやっと真っ直ぐに伸びている。
もちろん地中の根は、同じく絶妙至極の張り方だろう。
地中の根の姿も、本来とは異なる独特のものだろう。
この写真は、一本の木の苦闘の物語である。
一本の木に秘められた大自然の叡智の証である。

■南無華厳 狼山道院■
≪ 2013:01:11 ≫