<<現代日本人の自然観>>
今の日本人は異常なほどに「虫」を嫌う。
なんでこんなに嫌うのだろうか??
多くの人は「自然が好き!」と言うが、
多くの人は「虫が大嫌い!」のようである。
虫がいなければ自然は成立しないというのに、
それを知らない人が多いということか??
あるいは子どもの頃から、
虫を排斥する環境で育ってきたのだろうか??
我家は森の中だから虫の宝庫である。
何しろいろんな虫たちがいる。
正体不明の虫たちも一杯いる。
もちろんハチたちも一杯いる。
虫たちはいつも至近距離にいる。
だが一切、そんなことは気にしない。
そんなことは当たり前の日常なのだ。
この森に来て22年になるが、
ただの一度も殺虫剤を使ったことが無い。
もとから殺虫剤を使う発想など起こらなかった。
殺虫剤で虫を殺してどうするのか??
そんなことをして何かの解決になるのか??
解決どころか、殺生の連続になるだけなのだ。
ただひたすら殺生を繰り返していくだけなのだ。
そしてそういうことを続ければ、
いつか大自然から「反動」が訪れるのである。
ただの一度も殺虫剤など使ったことが無いから、
我家は虫たちと良好に共存できている。
虫たちが徘徊していても、何の不都合も無い。
互いに自然体で暮らせているのである。
虫たちがいなければ、この森は成立しないのだ。
虫たちもまた、精一杯に頑張って生きているのだ。
それがありありと分かるのだ。
人間は嫌いなものを排斥しようとする。
ヘビが嫌いならば、ヘビを見ただけで駆除を考える。
ヘビが何もしなくても、目の前から消えて欲しいと考える。
熊や猪を怖いと思う人は、彼らを見かけただけで通報する。
通報するということは、「駆除」を要請するということだ。
それが子熊であろうと子猪であろうと人人は容赦しない。
「さぞかし腹が減ってんだろうな・・・」とか、
「できることなら、なんとかしてあげたい・・・」とか、
そんなふうに考える人は非常に少ないようである。
人間はとにかく、自分が嫌いなものを、とことん排斥する。
人間はとにかく異種の命に対して敬意を忘れている。
そういう風潮を見て思うことは、
「人間には共生など無理だろう」ということだ。
共生!と叫んでいるが、本心は真逆だということだ。
よくよく世間を見渡してみれば分かるはずだ。
人人が虫に対してどう思っているか??
あるいはヘビに対してどう思っているか??
あるいは熊や猪に対してどう思っているか??
あるいは「ペット」に対してどう思っているか??
人間は最も身近な動物のペットに対してさえも、
共生精神が著しく欠けている場合が多いではないか。
人間は、あまりにも本音と建前が違い過ぎるのだ。
よくもこれほどギャップが大きいものだと感心する。
人間の裏腹と二枚舌に感心するばかりである。
人間は「共生」などという看板を降ろしたらどうだろうか。
俺たち人間は狂暴なんだ!!
嫌いなものには容赦しないんだ!!
俺たちは地球の支配者なんだ!!
そのように正直に言ってくれた方が分かり易いのである。
どれほど美辞麗句で飾り立てても共生など無理なのだ。
■南無華厳 狼山道院■
≪ 2012:10:11 ≫